
今回はヴィンテージの結城のお着物に新作の九寸名古屋帯「猫の庭」を合わせたコーディネートのご紹介です。メインは当店別注の配色となる帯「猫の庭」。特に紺色との相性を感じていただけたらと思います…それでは早速見てまいりましょう。
関美穂子 「猫の庭 千成堂別注」 九寸名古屋帯 染め帯 型染め 薄縹(くすみブルー)


こちらは型染め作家 関美穂子さんに別注した九寸名古屋帯です。前作に続き大人の可愛さが堪能できる作品となっております。
本当に猫の可愛さと型染めの楽しさが溢れている作品です。ご自身の飼っている猫の姿を関さんが捉えた、関さんの視点がとても活かされた魅力溢れる帯。私は前作の「猫の庭」に店頭で出会った際、「猫好きでなくてもこの帯はいいな…」というのが率直な感想でした。そう、私は幼少の頃よりずっと犬と暮らしており犬派か猫派かと言えば断然ワンちゃんだったのです。それが、この帯の魅力に取りつかれて自分でも意外だったほど。そして今回です。人生とは分からないもので、家族に保護猫が加わりまして我が家は現在、犬と猫が走り回っております(!)個人的な話が長くなりましたが、実際に暮らしてみると猫ってなんと多くの魅力があることでしょう。犬と猫は比べるものでは無いことも理解しました。そして何より、この帯には関さんの猫への愛情溢れる眼差しを通した愛くるしい猫ちゃんが表現されていることがさらに良く分かるようになりました。
この帯は「猫の庭」という表題の通り、猫の遊んだり休んだりと様々な様子が伺えるのですが、魅力は猫だけではありません。花木や舞う蝶なども含めたお庭を型染めで表現しています。関さんはポップで可愛らしい世界観の中に、しっかりと主張のある線を込めるのが見どころ。複雑に重ねられた色味は質感の高い紬の帯地の上に、確固たる完成度を見せています。紬や小紋に合わせて、是非「型染の今」を感じるコーディネートをお楽しみ下さい。
そして何より、このコーディネートに見るネイビーとの相性の良さです。結城×型染で「ザ・和装」なのですが、この洗練された着姿。ぬくもりのある日本の良い和の中にまさに現代の感覚が生きているコーディネートです。
本場結城縮(結城紬の縮織り) 「古典の花 100亀甲」 袷着物 青藍色 (身丈154cm/裄丈68.5cm)


合わせたお着物、ヴィンテージの本場結城縮のお着物は100亀甲・細工の総絣。非常に希少な結城縮(ゆうきちぢみ・結城紬の縮織り)の袷着物です。奇跡的に状態も良いものが入荷いたしました。本場結城紬が重要無形文化財指定を受けた際に産地で撚糸の機械を廃棄したため、現在では制作数がほとんどなく幻となっております。絣の柄も古典に見られた花と抽象柄と思われ、まさしく現代の作品としては入手は不可能に近い一品。通は袷でも着る縮ですがお好みで単衣に直して着るのも良いと思います。
現在、当店では上質な結城が確保でき、ヴィンテージから新品の反物まで数多く揃っております。中でもヴィンテージは、お求めやすい価格でのご提供とお仕立ての期間が無く直ぐにご着用いただけることが嬉しいところ。ぜひこの機会にオンラインショップを覗いて、その他の結城もお楽しみください。
着姿全体のテーマを決めて遊ぶコーディネート
つい先日、スタッフ間で何気ない会話から出た「最近の気になっている色はネイビー」。個人的には日本人で紺色が似合わない人は居ないとも思っており、カラフルな物を黒や白で合わせるより紺と合わせることにより印象が柔らかくなるのも、ネイビーの良いところな気がしています。
結城は渋さが苦手な方もいらっしゃるかもしれませんが、今回のコーディネートのような花と蝶の可愛らしい印象のお着物もございます。今回は、帯も着物も合わせてトータルで表現されるのは「庭」。その庭を楽しんだりくつろいだりしている帯に描かれる微笑ましい猫の姿に気分は上がること間違いなし。ご自身でテーマを決めて遊ぶことが出来るのは柄物のコーディネートならではですね。
<スタッフ マキコ>