今回は季節を先取り。12月に届きました武村小平さんの「ササユリ(夏~単衣の帯)」から着想した2024年を予測する新感覚のコーディネートです。千成堂着物店では来年、少しだけ捻った色にフォーカスするしていきたく、その先陣を切る別注作品です。
地色にご注目ください。表現すれば藍鉄ですが、少し「緑み」を加えた新視点の色です。大人に似合う落ち着きと華やぎ、また、お手持ちの着物にも馴染みやすい色味を制作。着物も帯も単衣から夏まで楽しめるコーディネートとなっております。
では「新しい色」。一つずつご紹介していきましょう。
帯 武村小平 「ササユリ 千成堂別注」 九寸名古屋帯 藍鉄 夏帯〜単衣帯 染め帯 型染め
光の通り方や角度によって、藍のような黒のような深みがある中に、緑みが見え隠れして透け感のある紬地の節に更に濃淡が見えてじっくり惹き込まれる趣のある中に魅せる白「ササユリ」の色味は、とある古い紅型の裂へのオマージュです。
落ち着きのある絶妙な配色は、様々なコーディネートが楽しめる証。その日の気分では、小物まで全て渋く合わせなくてもOK。アクセントを効かせたくなったらユリの中にある小さな紅を拾うのも良いでしょう。
美しくもカッコよくも、大人可愛く締められる帯は、さすがの「武村小平」さんの帯ならでは、です。
着尺 千成堂着物店 「絹と綿の紅梅織」着尺 青褐色(青みがかった墨色・色無地)
なんとも生地が良い。染色が良い。絹と綿の紅梅織の繊細な格子に可愛さがありながら、青みある墨色が引き締めて、印象をさらなる高みへ引き上げている着尺です。暖かい季節、熱い季節、これ一枚あれば良いのでは?と思えるほどオールマイティにコーディネートを堪能できる一反。
帯締め 中村航太(中村正)「矢羽根」 手組綾竹二十玉 撚り房 夏帯締め・単衣 墨色と白よごし
こちらも着尺に続いて万能な中村航太さんの帯締めです。黒じゃない…グレーのような…いや墨色。というこちらもまた素晴らしい色めの1本。とても合わせやすく、上手く馴染みながら、深みのある光沢と白いラインに目を奪われる静かな存在感を放つ帯締めです。
良いさり気なさからコーディネートに使用して、後から「ああ、素敵だと思ったら中村航太さんだったのね、納得。」と思うほど。とにかくお薦めの1本です。
来年は「捻った色」にフォーカスして。
ここで大切なことは捻り過ぎた色ではないということ。楽しむのは、「少しだけ」あくまでも少しだけ捻ったお色です。幸いにもお客様のオーダーも増えて、合わせて作家さまにも恵まれ、当店のオリジナルの配色も増えました。お陰様で、ひとりひとりのお客様のご要望が実現できるようになってまいりました。
新しい年は、皆さまと少しだけ捻った色を取り入れて少し違う着姿を楽しみたい所存です。
<スタッフ マキコ>