「お題:あたたかい着物コート」生地・色・衿デザイン・裏地 完全フルオーダーの別注を承りました

勝山さと子さんのコート地とニシカワアツコさんのコート地を並べる

本当にこだわった「着物コート」をお探しの方は是非弊店にお声掛けいただきたいです。と言うのも、表地から裏地、サイズ、デザインまでを完全にフルオーダーできるからです。

着物コートは既製品(洋服の生地とパターンでつくる・比較的安価)はあるのですが、どうしても雰囲気や風合いに納得がいかず、もっともっと工芸的にこだわれないか?と常々考えていました。しかし、その解決策には中々たどり着かず、悩んでいました。そんなある日。

M様のコートを制作する

「極寒の京都旅行を乗り切れるコートが欲しい」と、常連のM様からオーダーをいただきました。

この方はすらりと背が高く細みの方です。裄もあるため、既製品ではサイズが難しく、雰囲気でも満足できるものが見つからなかったそうです。また、道行のようなコート+手袋+ショールでは保温力が足りず、ダウンジャケットを着る人が多いレベルの気温では本当に寒い思いをしたと聞きました。

当方の知る限り「勝山さと子さんのシルク×アルパカ(カシミア)コート地」は最も保温力が高いのですが「スーツ用のコート地でつくる着物コート」の分厚さへの不満を解消するため、薄手を心掛けて制作されていました。

表地担当:勝山さと子さん

そのことを勝山さと子さんに相談してみると「試作段階の厚いコート地がある!」と教えてくれました。経糸はシルクのまま、緯糸の構成を変えることで糸を太くして厚みを出す方式です。

(経糸はシルク、緯糸にカシミアとアルパカを使うのですが、経緯共に太いカシミアなどいろいろ試作品があったそうです。しかし、着物に雰囲気が合わずボツになったそうです。)

そして、M様は裄もあるため生地は広幅気味に制作が必要になります。

勝山さんいわく、なぜか耳が内側に引っ込んで織り上がることも発生しがちで、幅をきちんと出すのは研究とシビアな調整が必要とのでした。

そして、着こなしのお好み的に「ちょっと洋服感覚」という方向性もありました。「ヘチマ衿をベースに・衿幅を広く」という解決法で攻めたかったのですが、和裁の常識として変形の衿に対応できるところは皆無。当方の依頼先で最も精度の高い仕立て工房(受勲者の先生・お弟子さんも国内トップレベルの若手)でも対応ができず、京都の悉皆の情報を頼りに「特殊な仕様・コートに強い」仕立て工房を発見。早速出張で訪ねることにしました。

お仕立て担当:特殊仕様に強い和裁工房

衿やデザインを変形させるにあたって、反物の幅はもちろん長さを確保しておくことが大切で、サイズから要尺の割り出しも先に行う必要があります。工房とメールでやりとりを事前に行い、現地でもいろいろデザインの相談に乗ってもらいました。「普通の呉服屋の仕事は持ってこないことは、良く分かりました」と我ながらとてつもないコメントを頂戴してしまいました。

資料と会話からデザイン画をささっと起こしてくれ、対応力の高さには驚かされました。身八つ口を閉じるアイディアをくれたりウールでの仮縫いなど、本当に手をかけてくれました。縫い目を美しく仕上げるためミシンと手縫いを併用したりと全てにおいてクリエイティブ!衿の形もオリジナルのふんわり洋服感覚のものが完成。すごい工房とお近づきになれたものです。

そして、要尺と仕様が何とかまとまったところで、次に起こるのは「裏地」の確保についてです。

裏地担当:桂商店

広幅で表地を作る場合、当然ですが裏地も広幅になります。これは本当に難易度の高いオーダーです。当初、少し事態を甘く見ていた当方「男物の裏地でニュアンスカラーを選ぼう」と思っていました。

しかし、男物裏地はそもそも選択肢が少なく、暗めの色味しかなかったのです。コートの生地がしっかりしているところにそれを使ってしまうと、あまりにもメンズライクでM様には絶対似合わない。

そのため、生地を染める方向にシフト。通し裏の応用で、まあできるだろうと思っていました。しかし、これも困難でした。裏地の扱いがある総合系の問屋・取引のある裏地のメーカーにも聞きましたが広幅自体少ないところにコロナ禍の減産という追い打ちで、生地が全く見つからない!

そこで最後の手段、裏地の専門家「桂商店」の登場です。なんと男物の羽二重で白生地を持ってくれていました。早速、無地染を依頼。表地の雰囲気と溶け合うニュアンスのある桜色を制作致しました。

コートの表地に合わせて京都桂商店さんに別注で染めてもらった羽二重の裏地

そうこうしていると、勝山さんから表地が届きました。かなり難航したらしいのですが、幅も長さも完璧に調整された美しい一反が届きました。が、美しすぎました。湯のしを丁寧に施すことで少し風合いがおとなしくなり、わずかに温かみにかけていました。

その件を相談するとすぐに勝山さんが行動開始。再度仕上げをして少し毛羽感をだしてくれました。

(裏話ですが、コート地が水を吸うとかなり重くなるため、仕上げ屋さんが「腱鞘炎になる!」と本当に嫌がられたそうです。どこかで反物をカットして二回に分ける案も出ましたが、勝山さんの説得もあり何とか切らずに仕上げてくれました。感謝です・・。)

そして、この話は終わりません。

ストール担当:ニシカワアツコさん

首回りの保温力を高めるため、大判ストールを合わせて制作することに。

「ふんわりとした雰囲気がいい」と意向もあり、普段ふんわりとしたアルパカのストールをお願いしている作家ニシカワアツコ(織布gecko)さんに相談。アルパカの糸で当初は織る予定でしたが、なんとなく色味のニュアンスが異なるため、西川さんにご紹介いただいたカシミア糸の色見本から選び制作をお願いしました。

生地の上で色合わせをしました。

アルパカに比べると撚り感が感じられる糸で、温かみと洗練されたムードが同居したかなり素敵な仕上がりに!「やっぱりカシミアは織上がり良いですね」とのコメントもいただきました。

御礼

2月にご相談をいただき10月に納品とかなりの時間を頂戴いたしましたが、表地・裏地・デザインそしてストールまでを完全オーダーメイドした作品たちを揃えることができました。

素晴らしい作家さん方々・工房の方々・メーカーの方々のご尽力・ご協力をいただき、本当に嬉しい仕事ができました。心より御礼を申し上げます!

また、素敵な宿題を下さったM様、いつも格別のご愛顧に最大の感謝を申し上げます!

作品担当 井上英樹

「着たい」「似合う」が間違いなく揃います

「自分の着物にあう帯を選んでほしい」
「ネットの掲載品を実際に見たい」
「合うサイズの草履がない」
「お洒落なコーディネートで揃えてほしい」
「着物が着にくいので、仕立て直したい」
「紬をはじめたい」
「似合うものをオーダーメイドしたい」
「式典のコーディネートを任せたい」
「芭蕉布や上布など、特上品が欲しい」
「染織家の●●さんの作品が欲しい」

お応えしてきた一例です。ご来店(予約制)はもちろん、メールやLINEでもお気軽にご相談ください。

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