こんにちは。スタイリストの井上和子です
夏着物に合わせた足元に、今年は「大人の下駄」という選択も、お勧めしたいです。
下駄と言いますと、夏、浴衣、カジュアル、花火大会などがイメージされますが実は夏だけの履物ではありません。
ちょっと履物の歴史をのぞいてみますと下駄の原型は弥生時代の頃農業などの作業に適した道具のようなものだったといいますから、今の形からは、想像もつきません。
ちなみに、現在の様な下駄は、千利休の頃茶人達が履き始めたと言われています。それから、今の様な、革や布、パナマや麻、シナなどの様々な素材を使って作らせた草履が登場するのは、ずっと後ですから着物に下駄は当たり前でした。
草履がでてきてなんとなく差別化がされて【下駄は夏の履物】となったのでしょうか。
たとえば、私がトータルコーディネートを考えたときに着物に合う下駄はイメージ出来ますが、浴衣にあう草履は思いつきません。夏草履については、今までのブログで何度か取り上げておりますので、今回は下駄にポイントをおいてお話します。
日本の履物の原点といえるだけあって、素材や加工、形も様々ですが、当店でセレクトしたのは、形は舟形で、胡麻竹と桜張りの樺細工です、どちらも加工する職人さんが少なくなり、希少な高級下駄です。
胡麻竹は桐の台に胡麻竹を張った見た目にもすずやかで素足にさらりとした感触が心地よいため、特に夏下駄として好まれます。下駄は季節に関係なく履いていただけますので、夏は素足でとか着物とのバランスに合わせて足袋を履いたりすることが良いとおもいます。
桜張りの樺細工のげたは、桐の台に桜の木の皮をはった張った美しい木目と、艶やかな光沢が楽しめる伝統工芸品の希少な下駄です。足袋を履いて紬の着物に合わせても素敵です。
形に舟形を選んだのは、草履の形に近く、下駄を初めて履く方も抵抗なく取り入れやすい事、現代のお着物に合いやすい事、底にゴムが張ってあり滑りにくくカラコロと下駄の足音がしにくいなどの点からセレクトしました。
いかがでしょうか。夏だけのものと思っていた下駄も一年中はけると思えば、空模様の気になる日には雨にも強い塗りの駒下駄の洒落たものを履いてみてもよいでしょうし、あとのお手入れもらくです。
ひと昔前までは、どこの家の玄関にも必ず一、二足はあったげたも今はほとんど見られなくなりましたし高価になりましたが着物のトータルコーディネートのアイテムとして取り入れてみるのも楽しいとおもいます。
今年は「大人の下駄」に挑戦して、奥深い着物の世界を楽しんでみてください。