10月も中旬を過ぎると着物コーディネートの相談が一気に増えてきます。手持ちの着物や帯を生かしたコーディネートのご依頼も多くあります。「帯締めや帯揚げに旬の色味をプラスしては?」とお答えすることがあります。今、コーディネートを「旬」に変えるなら、注目は断然「鶸色(ひわいろ)」系の帯締めです。
紬に合わせる「鶸色(ひわいろ)」の帯締め
こちらは芝崎圭一さんの座繰り紬「苅安」と藤山千春さんの「吉野間道」を合わせたコーディネートです。注目は帯締めの配色。コーディネート派に人気のブランド「衿秀」さんから発表された新作「鶸色(ひわいろ)」が印象的な帯締めです。(サイト上では藍色〜淡黄と表現しています)
「パチッとした」という着物業界特有の表現がありますが、鮮やかな強い色味を得意とする衿秀さん、さすがにエッジの効いた色味です。衿秀さんはじめ、和装小物の問屋さんは着物や帯の問屋さんに比べて、バリエーション豊かな小売店に出入りします。情報によると、どこもこの「鶸色(ひわいろ)」系の小物は品薄だそうです。売れ筋ということです。
黄色系の着物コーディネートは、新鮮な着こなしを楽しみたい方におすすめ。黄色の色に馴染みやすい緑系、特にナチュラルな鶸色(ひわいろ)系の帯締めや帯揚げは馴染みの良い色味です。気張らない自然な着こなしを実現できます。初心者にも取り入れやすいと思います。
このコーディネートの場合、帯にも近い色味が含まれています。そのため、さらに馴染みが良いです。
訪問着と鶸色(ひわいろ)の帯締めのコーディネート
さて、この「鶸色(ひわいろ)」系の帯締めは訪問着など正装の着物でも新鮮な印象に変えてくれます。「成謙工房 謙蔵」の訪問着と「紫玄」の袋帯を合わせたコーディネートです。京友禅の訪問着と唐織・西陣織のベーシックな正装コーディネートです。
大人に似合う良い色目の着物は一見「地味」にも見える着物。そんな時は迫力と高級感のある帯を合わせて、トータルコーディネートで勝負。この場合、特に帯の黒を効かせています。
グレージュ×黒のコーディネート、普通なら金糸使いの白い帯締めなど合わせるところですが・・ここに「鶸色(ひわいろ)」の帯締めを合わせています。するとどうでしょう、ぐっとコーディネートが爽やかになってきます。
付下げや訪問着、飛び柄小紋など正装感のある「やわらかもの」の着物には「紐の渡敬」ブランドの帯締めや帯揚げを合わせることが当店では多いです。京好みな少しはんなりとした世界観でつくられる帯締めや帯揚げは、この手の着物コーディネートに相性が良い。
鶸色(ひわいろ)は出すぎないアクセントにおすすめ
一時期、若い方があえて「シンプル・モノトーン・ワントーン」に着こなす無地感覚コーディネートが注目を集めました。正装のシーンに影響して、シンプルな配色が流行しました。
ですが、少し時間が経つとその流行も進化してきます。帯締めや帯揚げにその世界観を崩さずアクセントをいれるかが、ポイントになってきます。
ここに赤系を効かせてしまうとあまりにも目を引きすぎて、まとまりが悪くなります。そうです、「鶸色(ひわいろ)」帯締めなら出すぎずコーディネートの中に適切な主張を発揮してくれます。
秋に向けて新しい感覚のカラーコーディネートが注目ですが、是非「鶸色(ひわいろ)」の小物に目を向けてみて下さい。きっと新しい世界に気が付くはずです。