いわずと知れた究極の夏着物「喜如嘉の芭蕉布」。芭蕉布とは沖縄で育つ「糸芭蕉」の糸で織り上げる古来の自然布。独特の透明感と美しい色合いに惹きつけられます。民藝運動の柳宗悦先生はじめ、厳しい審美眼を持つひとほど、その素朴さを超えた美しさに気が付くはずです。
中でも、芭蕉の芯に近いところからとった繊維を績む極細の糸で織り上げる「着尺」はけた違いの制作難易度と手間を誇り、流通に乗ることが珍しい超希少品。当店はある程度安定して確保できていますが、基本的に入手は難しく、気に入った色柄となると・・タイミングとしか言いようがありません。
その貴重な芭蕉布の着尺ですが「確固たる魅力」があります。肌にまとわりつかない風を纏うかのような着心地、誰が見てもそれだとわかる質感。いつかは欲しい!お考えの方も多いと思います。
当店は「喜如嘉の芭蕉布(平良工房)」の正規作品を扱っており、おかげさまで色々なデザインやテイストのものを拝見しています。ですが、やはり自然布、独特な素朴な雰囲気を纏う布です。当店はコンセプトとして「旬」をかかげています。旬の流れは「 都会的 」から「 温かみや優しさ 」に来ています。とはいえ、洒脱な雰囲気にまとめるのは当店の基本です。芭蕉布のもつ「素朴な温かさ」をどうすれば洒脱に着こなすことができるのでしょうか?
コーディネートのテイストを変えるにはまず、帯をガラッと変えること。今回見つけたのは北村武資先生の「羅」の帯とのコーディネートです。色は白よごし。
上布や自然布など、素朴な着物に素朴な帯を合せると、あたりまえですが非常に素朴なコーディネートになります。
洗練された着姿に見せるには、やはり帯をどう選ぶかが肝心。色々な帯を合せましたが・・この羅の帯のもつ品の良さと、その白の色味がもつ清々しさが素朴な芭蕉布の新しい表情を引き出してくれます。すっきりとまとめた帯回りはまさに新時代の芭蕉布コーディネートです。
帯揚げは麻の生成り無地が良いでしょう。(今回は間に合わず参考商品として、色味で選んだ正絹のものを置いています)帯締めは和小物さくらさんの生成×唐茶。同じ色相の中で濃い色味のものを合せてアクセントにしています。ここに全く違う色相のものを持ってくると、一気に野暮ったくなるので繊細に色を合わせました。
また、足元がポイントです。これは高級素材「パナマ」を使った夏向き草履。しかも平たい布を加工したものではなく、草履のために職人さんが一つ一つ編み上げた特別なお品です。鼻緒は白を合せて、爽やかにまとめました。足元は革の草履でも良いのですが、自然素材のもの、特に高級感のあるパナマを選ぶとグッとコーディネートが締まってきます。わかってるなーという感じも出ます。
素朴な着物でありながら、希少で高価な着物「芭蕉布」。その素朴さはあくまでも夏のカジュアルなコーディネートにしか向きません。ですが、折角着物をお召しになるなら、洗練されたお洒落にまとめて、ぜひお出かけいただきたいと思います。
芭蕉布と羅のコーディネートは街並みにもすっきりと馴染みます。 いかがでしょう、夏のお食事やお集まりのお席に、一際に美しい夏の装いでお出かけしてみては!
喜如嘉の芭蕉布、北村武資先生の各種帯、いずれも当店は正規作品を取り扱っております。どちらも希少なお品です。ご予約やご購入のご相談はぜひ当店まで。(商品担当 井上 英樹)