夏が終わり、秋の気配がしてくると紬のきものが欲しくなってきます。大島紬、結城紬・・いろいろとお勧めはありますが、もう持っているという方も多いのではないでしょうか。
二枚目以降に、まだ持っていないきものを選ぶなら、おすすめは黄八丈です。
黄八丈は独特のしっかりとした上質感があり、若い方はもちろん、40代~50代くらいの方に特におすすめです。
東京都八丈島の植物で染めた糸を使い、ひとつひとつ手織りで仕上げられる反物は希少性が高く、また、同じ柄の大量生産をしないため、気に入った柄を買い逃すと後からは手に入りません。
人と差の付く限定感。差の付く着こなしを求める方に黄八丈が選ばれるのは、それが理由です。
黄八丈はその名前の通り「八丈刈安(はちじょうかりやす)により発色した黄色・格子柄」のイメージではないでしょうか。ですが、近年人気なのは黒黄八丈と呼ばれる「黒」の黄八丈です。民芸調のコーディネートはちょっと・・とという方にも選ばれています。
黒黄八丈は黒が基本の色使いとなっており、秋冬流行のグレイッシュな着こなしにもぴったりです。民芸調にとどまらない、洗練された着こなしができる一反です。
着用シーンは上質感のあるカジュアルが基本です。お食事会やお集まり、同窓会や観劇にもおすすめです。もともとは将軍に献上された由緒ある織物です、その品格と上質感はお洒落を楽しみたい場面にぴったり。
当店は紬、紬関係のきものや帯には格別の思い入れがあります。もちろん、最上級のカジュアルである黄八丈もセレクトしています。こちらは「まるまなこ」(菱型の綾織です)の一反です。こちらは出回っている黄八丈とは一味違う作品です。黒とグレーの落ち着いた織り地は上品な光沢があります。刈安(かりやす)の黄色の糸がスッと一本のアクセントを加えてくれます。
様々な帯をお洒落にみせてくれますが、当店が合わせたのは「工芸帯地 木屋太(こうげいおびじ きやた)」さんのベージュの帯です。西陣織元の中でも群を抜いたお洒落感と、数倍の経糸をつかったシュッとしたしなやかさが特徴です。黄八丈のもつ高級感と上質感をさらにひきたててくれます。
良いきもの、良い帯と選ぶとさらに凝りたいのは、帯回りのこもの。是非、上質で少し凝った組みのものを選んでいただきたいです。合わせたのは渡敬さん扱い、平田組紐の綾竹組の帯締めです。
参照:千成堂着物店 長襦袢
さらに、落ち着いた着物は長襦袢に凝ってみるのも面白い。少し癖のある長襦袢を合わせて、さらに上級者の着こなしにも挑戦してみましょう。
一点もののリユース品を選ぶのも賢い選択。当店でもセレクトしております。お仕立て上がりですぐにお召しになれます。黄八丈の代表作として証紙のカタログ写真にもピックアップされた名作柄です。こちらも木屋太さんの帯をすっきりと合わせてみました。
秋口、冬の入りには新しい紬を探したくなるものです。他にないセンスの良い黒黄八丈、お勧めです。