言葉を失う完成度、斉藤佳代子さんの夏帯「風 透る夏」

作品担当 井上英樹です。

突然ですが、ご覧の皆様。本当においしいものを食べたとき、何と言いますか?

「わーおいしい!」

「うまい!」

きっと、このあたりかと思います。

正解ですが、今日だけは不正解!

本当に、心から感動した時、人は言葉を失うのです。

・・・斉藤佳代子さん

斉藤さんは2012年の独立以来、国展や日本民藝館展で入選を重ねる、まさに気鋭の人。

糸の質感の豊かさ、技術力の高さ、表現力や世界観・・全てが飛びぬけたクオリティー、数限りない入選は自然なことでしょう。

国展で作品は何度も拝見していますが、見るたびに鮮烈な感動のある、力強い作品たちに圧倒されます。

・・・名古屋帯「風 透る夏」

今回、入荷した斉藤佳代子さんの帯地「風 透る夏」は、あくまでも帯地であり、リアルクローズに落とし込まれた織物です。

ですが、始めて目にしたとき、あまりの感動でしばらく言葉を失ってしまいました。

もはや、これはリアルクローズを超えた、芸術的な何かです。

生絹(すずし)の透け感と、平織で透け感の無い線のコントラストはもちろん、軽やかに風に舞うような雰囲気は、どこかさりげない。

線の縁取りは立体的に織られ、その質感を際立たせています。

まさに、空間に美しい交差だけが浮かび上がっているようです。

これは、唸る。

「うーん・・・」しか言えない。

夏の着物の美しさを引き出す、技術

夏の着物の透け感には、いろいろな種類があります。

まとめて大きく分けると、澄んだ水のような透明感があるもの、または、あえて曇らせた趣を楽しむもの、二つです。

この、斉藤佳代子さんの帯は、その両方を高い次元で融合させています。

「すずし」は生絹とも書きますが、文字通り、精練しない生の絹糸のシャリ感や色味を味わうものです。

これで織り上げた織物は、精練した絹に比べると少し野趣を感じさせる織上がりになります。

これはあくまでも普通の話で、斉藤さんは糸を細くつくり、また、精緻に織り上げることでその野趣をエレガントで透明感のあるものへと昇華しています。

糸自体にはかなりクセがあるので、きれいに揃えて織るだけでも難しいと思うのですが・・さすがとしか言いようがなく、精緻な地を形成しています。

また、練った糸で織り出した吉野織の格子柄・・これもすごい。

こちらは、すずしの部分と色を統一してありますが、比べると、やはり際立った艶感があり、「柄」として、ふわりと空間に浮かび上がってきます。

「異なる糸を組み合わせて、きれいに織る」

言葉にすると単純ですが、これは、本当に本当にすごい。

野村半平「本場夏結城 80亀甲総絣 着尺」と帯をコーディネートする

ここまでの質感の帯です、着物も妥協なくいきましょう。

夏の紬の最高峰「本場夏結城の80亀甲」に合わせました、糸どうしの質感が調和して、本当に次元の高いコーディネートが完成。これも言葉を失う、間違いなしです。

・・・まとめ

基本的に、夏の着物や帯というのは、透け感があり、それだけできれいです。

「気温が高く、風通しを良くしたい」という機能的な意味はもちろんですが、その存在自体が美しく得難いもの。

人間、圧倒的に美しいものを見たときには、言葉を失ってしまうのですが、夏の着物や帯は特にです。

今回、この斉藤佳代子さんの「風 透る夏」作品を見た時に一回、そして、届いて分析した時に一回、合わせて二回も言葉を失ってしまいました。

このブログでは、本当は美術的な視点で書きたいのですが、それだと「・・・おお・・・」と「・・・うーん・・・」だけになってしまうので、今回はこの感じで勘弁していただきたく・・。

作品担当 井上英樹

「着たい」「似合う」が間違いなく揃います

「自分の着物にあう帯を選んでほしい」
「ネットの掲載品を実際に見たい」
「合うサイズの草履がない」
「お洒落なコーディネートで揃えてほしい」
「着物が着にくいので、仕立て直したい」
「紬をはじめたい」
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