
今回は、着回せるお着物と帯となる2種を、さらりと上品にまとめたコーディネートをご紹介します。
まず着尺は、テキスタイルデザイナーとしても活躍した「下井信彦」氏の手掛ける紬です。糸づくりからこだわり、優れた技術で制作される綾織りです。上品な艶と、少し空気を含むような織上がりも魅力です。 こちらは、緯の浮き織と無地場で横段を織り出した着尺です。 柄の制作から作品担当 井上英樹が関わった、オリジナルの作品となっています。
染色は茜とログウッドなど植物の染料と化学染料です。糸一本一本の色に個性を持たせた、手仕事の紬です。 下井さんの着尺は綾織りにして、空気を含ませたような厚みを織上がりに出していますが、無地場をとることで、通常の作品よりやや薄手の織上がりを実現いたしました。さらりとお召しいただける、軽やかな作品に仕上がっています。
袷、単衣、どちらもお仕立てが可能です。羽織ものや帯を工夫して幅広いシーズンを着こなす、単衣としてお仕立てもおすすめです。 紬ではありますが、色無地のような感覚でコーディネートも可能です。軽めの袋帯を締めればセミフォーマルなシーンまで対応いたします。良い名古屋帯を合わせた上級カジュアルも素敵です。
スマートな「上級カジュアル」におすすめなのが、洛風林さんのこちらの名古屋帯。題は「フロリチカ」。 ルーマニアの言葉で「小さい花」を意味する柄です。東欧の民芸的な意匠を優れた色彩感覚で洒脱に仕上げた傑作。特に季節を限定するモチーフではありません。爽やかな色味で幅広い季節にお勧めです。
ここまで柔らかい配色があるでしょうか。絶妙なニュアンスカラーは、以前の展示会で、井上英樹が洛風林さんとさせていただいた会話から生まれた色とおっしゃっていただき、更に喜びが増します。
優しい配色はどこまでも優しく。合わせた帯揚げと帯締めは渡敬さん。当店でも貝ノ口の帯締めは人気が高いですが、中でもこちらはさり気なく上品な色めです。帯揚げもニュアンスカラーで実は輪出し絞り、というさり気なさ。美しさの中に可愛らしさが覗くものが個人的には大好きです。
どんな場面にも溶け込める、さり気ない美しさが際立つコーディネート。それらはお手持ちのお着物や帯でも千差万別に楽しめること間違いなしです。
スタッフ マキコ