作品担当 井上英樹です。
1月12日 朝5:15 例によってほぼ始発の電車に乗って、京都に仕入れに行って参りました。
(神奈川県も緊急事態宣言の範囲となり、普段よりさらに気を付けて、ご迷惑の無いように・・。)
今回は、大切なお客様からの制作依頼も受けており、中々充実したスケジュールでした。
前回、京都出張のブログを書きましたが、私は雨男。今回はなんと雪まで降るという、ワンランク上の仕上がりだったことを、まずはご報告いたします。
工芸帯地 洛風林 「フロリチカ」膨れ織の九寸名古屋帯
洛風林さんでは、堀江麗子社長や制作を担当されている堀江愛子さんとも色々話をしています。
「千成堂さんではどんな色や、柄が好まれてますか・・?」
「うちではニュアンスのあるピンク、灰桜系のお色が人気ですね」
といった、ちょっとした会話から何かが生まれることもあります。
こちらの九寸名古屋帯 フロリチカの色はそんな話から、すくい上げてくれたお色味だそうです。
いわゆるくすみ系の配色が本当にお洒落!やっぱり、こうじゃないといけない。
「フロリチカ」九寸名古屋帯を下井紬 着尺に合わせる
下井信彦さんに私が柄から制作をお願いした別注、灰藤色の下井紬にフロリチカ名古屋帯を合せたコーディネートです。
甘めで優しい配色ですが、ニュアンスのある色味なら大人にも似合う。帯締めは貝ノ口組を合せて、格上げ。帯揚げも絞りをふんわりと効かせた逸品です。
工芸帯地 洛風林 「競花錦」膨れ織の九寸名古屋帯
そして、会場の一番目立つところに飾られていたこちら「競花錦」は黒系の地色の帯です。
トーンを押さえた帯ですが、銀鼠色とベージュの分量が絶妙で、可愛らしい雰囲気に仕上がっています。
「花が競い合い咲く様子で、上に向かって伸びやかに上るイメージ」と堀江愛子さんにうかがいました。
前向きなメッセージが込められた意匠です。
「競花錦」九寸名古屋帯を久米島紬に合わせる
本場久米島紬と競花錦 名古屋帯のコーディネート。優しい草木染紬の色合いを、黒ですっきり引き締めて。やわらかい意匠ですので、しぼりの帯揚げやニュアンスカラーの帯締めの相性良し。
工芸帯地 洛風林 「チムール花文」膨れ織の九寸名古屋帯
ウズベキスタン由来の文様、かつて存在した王朝「ティムール」にちなんだチムール花文。
以前、白系の作品を扱いましたが、今回はブルーグレー系の色味で登場しました。
洛風林さんならでは、どこかに温かみのある青は当店でも非常に人気があります。
白系の着物や、紺系の着物、または都会的なグレー系か・・とコーディネートが楽しく悩めそう。
チムール花文の名古屋帯を首里織の単衣に合わせる
グレイッシュな首里花織の単衣に合わせた都会的なコーディネートはいかがでしょうか。
首里織は草木染と手織の風合いがあり、洛風林はやわらかでふんわりとした織上がり、二つ合わせることで落ち着いたトーンでも寒々しくなくて・・素敵。
工芸帯地 洛風林 「レリーフ」膨れ織の九寸名古屋帯
差し色の金色系を銀色系に変更。新色で登場した人気の「レリーフ・白よごし」も素敵です。
洛風林さんの作品のなかでも「白系」の作品は本当に人気が高いです。
白百色、黒百色と言いますが、選びがいのある白を湛える帯です。
絹糸のニュアンスを感じる、ほっと温かい白は洛風林さんならでは。
クールすぎない、抜け感のある着こなしを完成してくれます。
洛風林さんの帯は着こなしを「今」にしてくれる
私が京都に仕入れに行く最大の理由の一つは「洛風林さんに行きたいから」です。
技巧的であったり、シャープな切れ味であったり、素敵な西陣の帯は他にもあります。
ですが、お洒落でありながら、どこかホッとするよう抜け感を思わせる帯はどうしても洛風林さんでしか見つけられないものです。
ちゃんと本社に行って、詳しく話を聞きながら、教わりながら選ぶ時間は何にも変えがたいものです。
意匠の妙、時代を経ても変わらない工芸的な趣、やわらかく馴染む織上がり。
「工芸帯地 洛風林」
今年も、最も注目するべき帯ブランドで間違いありません。
おまけ:洛風林さんの年賀状は堀江愛子さんの作品です
毎年届く洛風林さんのかわいい年賀状は、制作担当の堀江愛子さんがデザインをしています。
今年は丑年、ということで牛がデザインされています。
「去年はコロナウイルスで暗いニュースが多かったので、その中からグッと立ち上がるイメージです」
と教えてもらいました。
インクジェットプリントなどではなく、摺ってあります。
当店は電子化で年賀状を送っていないのですが・・良いものをみると、作りたくなりますね。
作品担当 井上英樹 / コーディネート担当 井上和子 / 反物着装 マサエ