作品担当 井上英樹です。
私たちは織物や染物以外にも、色々な和小物たちもオリジナルとして制作しています。
着物コーディネートに何より大切なのは世界観、普通に存在するものだけでは、どうしても足りないことが多々あります。
そんな時にはセンスの良い作家さんに相談して、創作していくのが一番です。
今回ご紹介するのは、和歌山県の漆作家 橋爪玲子さんから届いた「他にない」テイストの作品です。
橋爪玲子 水牛角に蒔絵の帯留 「九輪の花」
まずは、人気の帯留です。
水牛の角に蒔絵の技法で花を描き出した作品は、当店のオリジナルとして制作をいただいた他にない逸品。
ベースになる水牛の角は天然素材ですので、模様は全て異なります。橋爪さんとはinstagramのメッセージで良くやり取りをするのですが、お手持ちの素材を写真で見せていただき、私の思う一番素敵な素材を選ばせていただきました。
柄は九輪の花なのですが、これは、落ち着いた配色の中でも帯回りに華やかさを演出できるような、手の込んだ柄です。こちらも、ご相談に乗っていただき、選びました。
水牛の角は非常に高級感があります。そして、落ち着きもあります。
その中にふっと目を引く、咲き誇る花のモチーフは素敵ではないでしょうか。
橋爪さんの小箱
また、今回の作品には「橋爪さんオリジナルの小箱」に入って届きました。
これは、柿渋を使った素材でつづら屋さんが手掛けたオリジナルだそうです。
京都天王柿を使用した天然素材の柿渋を和紙に一つひとつ塗り、丁寧に手で組み立てた箱です。
時間とともに味わいを深めていく箱であり、帯留めを大切に守ります。
箱の表情も含めて、何とも上質感を醸し出しています。嬉しくなってきますね。
私も箱には凝る方ですが、どのような包みで届くのかは、きっと世界観を作るために大切なことだと思います。
橋爪玲子 漆絵の扇子 「花」と「多弁」
そして、人気の「墨染の竹×漆絵の扇子」オリジナルを制作いただきました。
二作品とも、「花」をモチーフにした作品です。
橋爪さんは漆を使ったお茶の道具も制作されていますが、その中からモチーフを選び、オリジナルとして制作をお願い致しました。
いわゆるフォーマル向けの扇子ではなく、お洒落に使える扇子を目指しています。
コーディネート担当 母和子が良く言うのですが、扇子は帯回りのアクセサリーとして優秀です。
少し帯回りが寂しいな・・というときに挿しておくと、アクセントになって素敵です。
私は、その目的のために、少し柄の華やかな作品をお願いすることにしています。
共に技法的には漆絵になります。
橋爪さんの作品は、無駄のない洗練されたデザインが本当にお洒落です。
漆絵はいわゆる捺染プリントとは異なり、平らではなく、わずかですが盛り上がりがあります。
これにより、洗練されたデザインがさらに引き立ち、シンプルなだけではなく上質さを感じさせます。
もちろんですが、扇げる扇子です。
橋爪玲子 白竹に蒔絵の扇子「貝殻」
さらに高級感のある「白竹に蒔絵」の扇子も入荷しています。
こちらは渋めの金の扇面に合わせたワントーン、カラーコーディネートにも気を配った作品です。
丁寧に重ねた塗りは、さらに奥行きが感じられます。
モチーフは貝殻。丸みのある模様を飛び柄に配置した、愛らしい作品です。
お茶席につかえますか?
インターネットで調べると
表千家:男女とも長さは、6.5寸(19.7cm)が主流。(かつては男性は6.5寸(19.7cm)、女性は6寸(18.2cm)だった)裏千家:男性は6寸(18.2cm)で女性は5寸(15.2cm)
要約すると、上記のようです。
こちらの扇子はともに18cm、特にお茶席用というものではありません。
ですが、流派や先生により大丈夫だと思いますので、気になる方は、先生に聞いてみて下さい。
新しい視点の工芸品を「創って」いただく
都会的な感性と、伝統的な手仕事の融合。
これは・・まさに当店の追い求める「新視点」そのものです。
漆器はクラシックな英語で「JAPAN」と呼ばれていたこともあります。
漆はそれほどに日本の伝統に根差した工芸品ですが、現代の表情が加わると、ことさらに美しい。
着物はもちろんですが、洋服で使っても、その高級感があなたのスタイルに映えます。
和、洋、どちらの視点でもお洒落を心から楽しむ。そんな、あなたにこそ楽しんでいただきたい作品です。
橋爪さん、今回も素敵な作品をありがとうございます。
作品担当 井上 英樹