こんな織物がもっと知られていけば、着物はもっと快適になるのに・・と心から思います。日本の最西端「与那国島」で織られている「ドゥタティの着尺」が入荷しました。
ドゥタティとは
与那国の言葉で「四」を意味するドゥーチと「仕立て」を意味するタティから「奥身をつけない、四枚の仕立て」という意味で名が付いたと言われています。
この織物は綿と麻で織られる交織布の一種です。経糸は綿糸ですが、緯糸は白が麻(ラミー)で黒と青が綿糸で織られています。
そのため、完全な麻の着物に比べるとシャリ感は控えめで、ある程度の地厚さがあります。このチェック柄は島ではお祭りの時に着られる特別なものだそうです。
ドゥタティは夏着物?
産地の気候から考えて、夏の季節をめがけて着るものというイメージはありますが、しっかりとした織上がりですので、夏だけに限定せず、単衣の季節を広くお楽しみいただけるのではないででしょうか。
さて、私がなんでこの着物をお勧めしたいかというと、「日本の暑すぎる夏」に原因があります。ご存知の通り、日本の夏は年々暑くなっています、40度にせまることがニュースで流れたりするのは、あまり不自然に思わなくなりました。
そして、そのままの流れで9月や、夏の手前の5月など、強烈に暑い日があるのが最近です。私たちのお店にも着物を着てご来店される方がありますが、暑い日など熱中症?で帰ってからぐったり・・ということを聞いたりします。
今、私が思うに、昔の気温や生活から考えた季節感はもう今には合わないと思います。
特にカジュアルな場面の洒落もので言えば、このあたりは無視していいのではないでしょうか。厳格な季節感があるお茶のお稽古や、フォーマルはまた話が違うのですが、しっかりした透け感の少ない夏物は、秋や春などの季節にも決しておかしいことではないと思います。
ドゥタティは春に、秋に、さわやかに着る
さて、この綿麻のドゥタティですが、春に着てみるのはいかがでしょうか。
抽象化された花のデザイン関美穂子さんの型染め帯「道ばたの花」がとても愛らしく映えます。
夏を超え、今度は秋になったら岡本紘子さんの帯のように、少し小付けの柄の帯をシンプルにまとめるのもきっとお洒落です。
春夏秋と楽しめる着物だと思います。
ドゥタティは上質感の高い織物です
綿麻の着物はどうしてもチープ感があり、避けている方もいると思います。ですが、このドゥタティという織物は全くそのチープ感がなく、大人こそ挑戦したくなるような雰囲気があります。半幅の帯などカジュアルな帯も合いますが、紬の名古屋帯など少ししっかりした帯を受け止めて、お洒落にまとまります。
晩夏から秋、着物は暑くて着られない・・そんなお悩みをお持ちのあなたに、特にお勧めの一反です。