付下げに合う帯は袋帯だけ、そうお考えの方は多いと思います。
しかし今、「付下げに名古屋帯を合せる」という、選び方が注目を集めています。
なぜ、今「名古屋帯」なのか
正装の袋帯の着用は基本的にフォーマルシーンのみに限定されます。ですが、名古屋帯なら色無地や上質な紬などに合いますので、お茶のお席やホテルでの会食など、さらに幅広く楽しむことができます。
一点豪華主義というより、着回し力が重視される昨今ですが、名古屋帯が選ばれるのも納得です。
ですが・・フォーマルな場面で名古屋帯を締めるのには、帯の選び方に「ちょっとしたコツ」が必要です。今回、そのコツを共有したいと思います。
帯を選ぶ前に付下げを理解しておく
まず付下げは何か、おさらいしておきましょう。付下げとは訪問着を簡略化したものです。(付下げ訪問着と言われる新ジャンルもありますね)
一枚の絵のような「絵羽の柄付け」が必要な訪問着に比べると、飛び柄のように簡略化した柄付けも可能で、すっきりとした着こなしに向きます。
もちろん、フォーマルの着物ですので、卒業式や入学式、結婚式など式典の着物として着ることができます。
豪華な訪問着ですと、「ならでは」の煌びやかなお仕度ができますが、「抜け感のある」着姿がトレンドの今、付下げを選ぶ方も増えています。
実践、付下げに合う名古屋帯の選び方
さて、帯の選び方を考えていきましょう。
付下げに合う名古屋帯を選ぶ場合、「格調の高さ」が重要になります。
一番見分けやすいのは金糸など光沢のある糸が使われているかどうか、です。
唐織の名古帯は合うか?
こちらは「唐織の名古屋帯 / 錦工芸」です。絵緯と呼ばれる緯糸で立体感のある柄を織り出した、豪華な作品です。こちらは袋帯にも近い技法を使った高級感のある帯ですが、金糸を使っていません。そのため、色無地などそこまで正装すぎない着物にまでかな・・と思います。
同じ唐織の名古屋帯でもこちらではいかがでしょうか。
松寿苑の名古屋帯
こちらも同じく唐織の名古屋帯。こちらは上記のものに比べて、格の高い名古屋帯と判断できます。有職文様であること、金糸使いであることが大きな理由です。
実際に付下げとコーディネートしてみました。シンプルですが存在感のあるお洒落なフォーマルが表現できたと思います。
付下げに合せることで言えば、こちらの名古屋帯の方が「 より良い 」選択だと思います。
織楽浅野の名古屋帯は、その白さがフォーマル感を出してくれる
また、こちら「織楽浅野」さんの名古屋帯のように、もっとすっきりした帯も付下げに合せて締められます。あえて、シンプルな付下げに合わせましたが、まさにすっきり感のあるコーディネートが完成しました。
こちらは訪問着ですが、洒落感の強い花織の訪問着です。完全なフォーマルではないので付下げの感覚で帯を合せてみました。帯飾りも同系色で合わせて、さらに遊んでいます。
極カジュアルであれば訪問着にも名古屋帯は合せることが可能です。
こちらは式典というより、パーティーや洒落着のシーンにお勧めのコーディネートです。
洛風林の「重め」名古屋帯は付下げにもぴったり
上記の二点に比べるとぐっと洒落みがありますがこちらの帯も、付下げに合わせたコーディネートが可能です。
洛風林さんは格調のある「少し重めの名古屋帯」というジャンルにも挑戦しています。金糸を使った白系の名古屋帯はフォーマルなシーンにも違和感なく馴染みます。
結論、付下げと名古屋帯は合います
いかがでしたでしょうか。ご覧いただいたように付下げに合う名古屋帯は確かにあります。
洋服でイメージすると、同じワンピースでもパールを合わせるところをゴールドのアクセサリーで楽しんだり、きっちりとしたパンプスをミュールにして遊ぶ感覚。
少し上級の着こなしとして、「付下げ」と「 名古屋帯 」のコーディネートはお勧めです。
この機会に是非、付下げと名古屋帯で旬の着こなしを手に入れてください。コーディネートのご案内は随時承っております。