型染め作家 武村小平さんの新作が入荷いたしました。こちらの帯「スイセン」は弊店の別注配色となります。上質な風合いの紬生地にも注目、日本工芸会に所属する小田島 克明さんの率いる機屋「おだきん」さんの生地です。こだわりを感じる今回の作品、まさにこの秋に彩りを添える逸品です。
武村小平さんは滋賀県のアトリエで、自らが図案、型彫、染めを手がける型染め作家。手掛ける作品は、野に咲く草花や季節のモチーフがよく選ばれています。空間使いと配色は優れたグラフィックデザインのよう。深みのある色彩と合わさり生まれる洒脱な雰囲気は、まさに武村さんの持つ世界観そのものです。
今回の作品の配色テーマは「朱(あけ)」。少し赤みを加えた色味を想定していました。当店の別注品は比較的、寒色が多く(特に紺)落ち着いたムードの作品を制作依頼してきました。しかし、最近の流れとして「重み」や「印象的な発色」が帯回りのキーワードに出現してきており、それを先読みする形で新しいニュアンスを企画しました。落ち着いた華やぎが演出できていると嬉しいです。
着物の流行、という言葉でくくってしまうとチープになってしまい宜しくないのですが、優れた手仕事を現代のテイストで表すのが軸の当店です、「新たなニュアンスを提案する」ことにはしっかり腰を据えて取り組もうと思います。
引き算一辺倒ではなく、楽しく、愛らしく、少し要素を加えていく。あくまで内輪の話ですが、そんな想いを具現化した力の入った作品になっています。