ケリーかバーキンか、それが問題。
着物に合うバッグの最高峰、みんなの憧れ”エルメス ケリーバッグ”、そしてもう一つの最高峰”エルメス バーキン”。
どちらが着物にぴったり合うのでしょうか?悩んだことはありませんか?
そもそも、バーキンは着物に合うのか賛否が分かれます。
二つのバッグはテイストがかなり異なります。
ラインがシュッとしたケリーバッグに比べて、バーキンは少しがっちりとした印象です。品の求められる和装用バッグ、がっちり目のデザインはそもそも・・・合うのでしょうか?今回はこれをテーマに考えてみたいと思います。
まず、2大バッグについておさらいしてみます。
ケリーバッグの歴史
ケリー・バッグ(Kelly bag)は女性用ハンドバッグの一種。台形型のフォルムを持つかぶせ蓋のバッグで、蓋に錠が付いているのが特徴。もともとはエルメスオリジナル製品であったが、現在ではさまざまなブランドからこのかたちのバッグが販売されている。
元来ケリーバッグは、馬具メーカーに端を発するエルメスが、サドルバッグを婦人用に改良して1935年に発売したもので、当初は「サック・ア・クロア」という商品名で売られていた。ところが、1955年、モナコ公妃となっていたグレース・ケリーが、パパラッチを避けて、妊娠中の腹部をとっさに持っていたこのバッグで隠したところ、その写真が雑誌に掲載され、一躍その認知度が高まった。エルメスではこれに便乗して、モナコ公国の許可を得て、1956年、「サック・ア・クロア」を「ケリーバッグ」と改称したものである(ちなみにファーストネームのグレースではなく、姓のケリーを用いたのは、公妃のイメージを守ろうとするモナコ側との妥協によるものだと伝えられる)。
ケリーバッグはモナコ公妃、グレースケリーがオーダーをしたバッグです。
馬具を入れるサドルバッグを公妃のオーダーに応えて、エレガントなデザインに改良したという経緯があります。もともとの目指すところが”エレガント”なので結果、非常に洗練されたデザインに仕上がっています。
対してバーキンの歴史
写真:ミニシアターに行こう。様の記事から引用。2010年3月18日(木)に六本木ヒルズにて、ジェーン・バーキンがユニフランス新代表・レジーヌ・ハッチョンドさんとともに、3月22日(月)まで開催される「フランス映画祭2010」の記者会見を行った際の写真とのことです。
歴史:
バーキンとは
女優ジェーン・バーキンの物が溢れんばかりに突っ込まれたバッグを見たエルメス社長が、彼女のためにオータクロアをベースにして作ったバッグが定番商品となったものと言われている。機能美を持ち、収納力、使い勝手にも優れる。オータクロアと比べて横長で、物を入れやすいように中の仕切りがないのが特長。
もともとバーキンは、”荷物の整理が苦手なジェーン・バーキンのため、なんでも詰め込める丈夫なバッグを作ろう”という目的でデザインされています。そのため”エレガント”というよりは”質実剛健”な、がっちり目のデザインになっています。
着物のバッグとしてコーディネートする時、賛否が分かれるのはやはりその生い立ちからくるデザインの違いからではないでしょうか?
上品なデザインが着物のバッグの基本です。
上品なバッグを基本にコーディネートする、和装のハンドバッグ。やはりそこを考えるとケリーしか着物には合わないのでしょうか?
しかし、ちょっと待ってください。
バーキンはポイントを押さえれば合います。
数点のポイントを押さえるとバーキンも着物のコーディネートにすんなりと合います。コーディネートを試した結果、以下のコツがまとめられます。
1.サイズは25cmか30cm
バーキンはたくさんのサイズが存在します。コーディネートをする場合、小さめのサイズバーキン25またはバーキン30を選ぶのがお勧めです。もともとのデザインががっちりしているため、これ以上の大きさはごつさが際立って見えてしまいます。
2.カラーは抑え目を選ぶ
エルメスのバッグは非常に色の種類が多いです。ピンクや赤系など派手な色味も存在します。しかし、ペールトーンなど淡い色や落ち着いたダーク系の色、合わせやすいベージュ・茶系を選ぶのが無難です。和装のコーディネートを考える場合、主張が強すぎるバッグは全体の調和を崩します。
3.紬系が無難
合わせるのは素朴でざっくりとした風合いの紬地の着物がよく合います。
色味や、サイズをうまく選べば少しフォーマルなコーディネートにも対応しますが、カジュアル色が強いデザインのため、紬などのカジュアルな着物にコーディネートするのが無難かもしれません。
4.蓋を織り込んで、トートバッグとして持つ。
バーキンのふたは内側にぴったり折込みが可能です。
このように持つと、ハンドバッグというより、トートバッグのようなデザインとしてバランスよくコーディネートができます。
以前ご紹介した、森田空美さんのムック本”森田空美の「きもの塾」(和樂ムック・小学館) ”でも、もちろんバーキンのコーディネートがたくさん紹介されています。やはり、トートバッグ型にしてコーディネートしている場面が目立ちます。
引用:森田空美の「きもの塾」(和樂ムック・小学館)
まとめ
確かに、すんなりと着物にコーディネートができるデザインはケリーバッグに軍配が上がります。
しかし、カジュアルな着物コーディネートに合わせたバーキンは、本当に上質でコーディネートを素敵に格上げしてくれます。少し定番からひねったコーディネートを極めれば、それはまさに着物の上級者ではないでしょうか?
ポイントを押さえれば、必ず着物にバーキンは合います。
今年こそ手に入れて、上級者のコーディネートにチャレンジしてみませんか?