「私、着物屋さん行ったことが無いんです」当方も一応、着物屋の端くれではありますが、そんなニュアンスでお客様からコーディネートのご相談をいただくことは少なくないです。自分自身でもあまり「着物屋でございます!」ということは思っていないので、きっと話しやすいんだと思います。
お客様 F様の「フォーマル」コーディネートを承る
今回、オンラインでご相談をいただいたF様もそんなお客様の一人でした。フォーマルシーンに着る、きちんとしたものなら受け継いで行く、という意向とご予算をいただき、当方で提案させていただきました。
檀れいさん着用の付下げを軸に揃える
まず、お着物は予算内でできる限り良いお品・コストパフォーマンスの高いものをご案内いたしました。当店はメディア掲載品を少しお買い得にご案内しており、その中から「檀れいさん着用」の付下げをご案内致しました。シンプルな中に愛らしさがあり、帯を変えることで幅広い年齢の方に似合う着物です。
イメージを伺っていると、洋服感覚ですっきりした着こなしがお似合いになりそうだなと感じ、白系のシンプルな帯をご案内致しました。今、明るいトーンの着物×明るいトーンの帯、という着こなしにはトレンド感があり、気に入っていただくことができました。
式典を意識したため、帯揚げを白×金糸のもので選びました。そのため、少し引き締めた色の帯締めを何点かご提案。その中でとくに気に入っていただいた和小物さくらさんの手組の上質な帯締めを合わせました。
お草履は菊之好さんに着物に合う一足をオーダーいたしました。ほんのりと紫がかったニュアンスカラーが着物にぴったりと合いました。
着付けの小物や肌着は、当店の着付け・着装担当マサエさんと詳細に打ち合わせ。(頼りになる着付けの師範です)。推奨の小物を衿秀さん協力のもと全て揃えました。
そして、着物をご納品して少ししたころ、F様から「バッグを提案して欲しい」と連絡がありました。
着物のバッグを探されたらしいのですが、ピンとくるものがなく、また着物を着る機会がそう多くないため洋服と兼用できるようなものを探されたそうです。
「着物にも洋服にも合う」というのは当店の最も得意なところです。
和装のブランドはもちろん、アート&クラフト界隈の作家さんや、ファッションのブランドにも仕事をお願いしている件もあり、すぐに「SHOJIFUJITA」さんのバッグが頭に浮かびました。
FUJITAさんには、利休バッグに近づけた「着物っぽい」作品を別注でお願いしておりますが、今回の場合、洋服にも活用範囲が広いデザインということで、ショルダーストラップが取り外しできる「DANCER POCHER(ダンサー ポシェ)」というモデルをオーダーしてご制作いただきました。
FUJITAさんはベースのモデルをアレンジした「カスタムオーダー」に最高に強く、配色やハンドルまわりの変更にとても柔軟に対応してくれます。今回はフォーマルな場面にも馴染みやすい白のレザーを選びました。(※厳密な意味で礼装バッグもご紹介しておりますが、今回は応用範囲が広いバッグでご用命をいただきました)
丁寧に伺い、本質を大切にすること
着物のコーディネートは故・井上和子(母)の時代から当店のメインコンテンツ。もっともお力になれるところです。最近は「合うものが無ければ、作家さん・問屋さんと制作する」という解決力も評価いただき、おかげさまで沢山のお仕事をいたけるようになりました。
私は「作品担当」として制作やデザインに関するところをメインに伺っていますが、一番に大切なのは「お客様が本質的に欲しいもの」をお話を伺う中から見つけることだと思っています。作る力、探す力は、きっと、そのあとに続いてくるものではないでしょうか。
これからも、お話をしっかりと伺うことを第一に、頼りにしてもらえるように頑張っていきたいと思います。
最後となりましたが、F様お着物コーディネートのご紹介許可をいただき誠にありがとうございます!また何かお困りがございましたら、何なりとお申し付けくださいませ。
作品担当 井上英樹