譲り受けた着物を生かす袋帯を選ぶ
前回のブログでは、付下げに名古屋帯はOKかNGかをコーディネートから見てみました。その際に、私の友人からの質問を書きましたが、その友人、お母さまから譲り受けた着物があって…ということでした。
着物を譲り受けたは良いが、自分は全く分からない着物…あると思います。
せっかく譲り受けたのだから晴れの場に着てみたい、活かしたい。私の場合は、譲り受けた着物で無くても、式典で帯だけ変えて表情を変えたい時に、次の帯をどうしたら良いかしらという悩んだりもします。
そこで、今回は「一本持っておくなら」というフォーマル用の袋帯を3点に絞り、コーディネートを見ながらご紹介したいと思います。
シンプルな螺鈿の袋帯
こちらは、大変美しい西陣まいづる「耀虹螺鈿(ようこうらでん)」袋帯です。コーディネートでは、ベージュの色無地に合わせております。伝統的な引き箔の技法が使われている逸品ですが、それでいて現代的なのはやはり美しい地色の「白」の力。この美しい地色がさまざまな着物の色に対応できる表情を見せてくれます。
イメージするだけでもグレー系のお着物は勿論のこと、ブルー系も合いますよね…ピンクでしたらはっきりしていないニュアンスカラーのピンク系でしたら大丈夫でしょう。そしてコーディネートに見るようなアイボリー、ベージュ系も上品です。この様に、一見、格調高い螺鈿の袋帯ですが、地色の白により、想像よりはるかに合わせやすい帯となります。
袋帯の色味を選ぶコツ
さて、譲り受けた着物を活かしたり手持ちの着物の表情を変えて式典などに出たい時、単純に帯の地色を白にするか金にするか銀にするか…で迷いませんか?
「白は浮いてしまうかな?」
「グレーの方が馴染むかしら?」
と、汚れなどの観点も含めて白より銀地をついつい考えると思うのですが、その際の注意点は「銀は以外と難しい」ということです。
銀色の帯を考えがちにはなると思いますが、銀地の帯は寒色系には合います。ですが、逆に、意外と暖色系に難しいのです。
ご自身のお着物が寒色系か暖色系かで帯を選ぶのは一つのコツです。
そして銀地色の帯でも、こちらの「唐織佐賀錦 袋帯 華菱紋」のような帯ですと、画像でご覧いただけるように、比較的、白の使われている分量が多いです。金色も使わていますので、寒色も暖色も合わせやすいと思います。
合わせやすい袋帯「河合美術の菊七宝」
最後にご紹介する袋帯は「河合美術織物 袋帯 菊七宝 白」です。菊と七宝の古典文様を立体感のある唐織を白・ベージュ・金糸でシンプルにまとめた配色で表現しています。これだけしっかりした古典文様ですのに、色留袖・訪問着・付下げ・色無地・飛び柄の小紋などに合わせて、すっきりとした今様の正装を楽しめるのは配色の妙。
帯だけの魅力で購入を決めても使えなければ残念というもの。着物と帯は、当然ですが一つでは纏えないものです。迷った際の1本には是非「白」に注目してみてください。
現代的に着る場合に合わせる帯、合わせる着物はとても大切で、大切な分、コーディネートを考える時間はかけがえのない楽しい時間となります。
貴重なお着物の大切なコーディネートのお手伝いはいつでもさせていただいております。ブログでは簡単なご紹介でのアドバイスとなりますが、個々に合わせた「らしさ」をプラスさせて頂くご案内は店頭やメール、lineなど、さまざまな方法で可能です。いつでもご相談ください。心よりお待ちしております。
スタッフ マキコ