付下げに名古屋帯を合わせる
先日、友人から「教えて欲しいのだけれど、付下げには袋帯じゃないといけない?名古屋帯は合わせてはいけないの?」と質問メールが届きました。なんとも簡単な様で難しいこの質問…正確に簡潔に言えば付下げには袋帯でしょう…「でも」なのです。その袋帯は、「絶対」では無く、名古屋帯でも大丈夫な場合もあります。それは、着ていく場面にもよりますし、付下げの柄ゆきなどからの着物の持つ雰囲気によります。それは合わせる帯にも言えること。
着物と帯を見せて貰えると即答なのですが…このお悩みは私の友人に限らず、誰でも、特にこの式典の多い時期に増えるのではないでしょうか。そこで、ちょうど千成堂の考える「付下げ×九寸名古屋帯」の最新コーディネートが出来上がりましたので、今回はこちらのコーディネートをインスタグラムよりご紹介いたします。
シンプルな付下げに名古屋帯を合わせる
着物(仮絵羽)は、京友禅の付下げ「雪輪」です。伝統的な和柄に箔や金彩・銀彩が施された大変雅やかな付下げです。ですが、いかがでしょうか。それだけ一つ一つの和柄は雅やかでありながら、優しい灰桜色の地色とすっきりとした柄行きの雰囲気からとても柔らかい現代的な印象を持つ付下げとなっております。
一言で言えば、シンプルな付下げです。こんなシンプルな付下げには名古屋帯も合います。上等な色無地のようなイメージでしょうか。
この様な付下げですと、袋帯は勿論のこと、合う名古屋帯が多くなります。むしろ名古屋帯を合わせる方が「旬」の着回し力を発揮できるようになるのです。
織楽浅野 「花雪輪 千成堂別注色」 九寸名古屋
合わせました帯は、織楽浅野 「花雪輪 千成堂別注色」 九寸名古屋帯。こちらは作品担当の井上が、浅野裕尚さんに直接お会いする機会があり、緒方乾山の器から愛らしい花を写した帯「花雪輪」に当店のテイストを入れて配色別注を依頼した新作の別注作品となります。当店が得意とするニュアンスカラーの配色と、甘すぎない花雪輪で、大人がときめく仕上がりとなっております。
着物や帯の格を気にせずにコーディネートをすることは一見、高度なセンスが必要と感じますよね。そのような場合は、帯に使用されている糸を見てみましょう。この帯の場合、優しい金糸と銀糸が使われていることが分かります。このような金糸、銀糸が使われている場合、名古屋帯でも付下げなど格の上がったお着物にもかなり合わせやすくなります。
着物と帯が合わせられたら、メリハリや印象の仕上げは小物でいたしましょう。
最後に合わせる小物は、帯揚げ、帯締め共に「和小物さくら」さん。今回は、ふんわりとした雰囲気に仕上げる感じで、帯揚げ&帯締めは少しカジュアルダウンさせています。もう少しフォーマル寄りにしたい場合でしたら、帯揚げにも少し金糸や銀糸が使われている物を合わせるのも有りですね。そのように付下げは、印象をカジュアルからフォーマルまでかなり変化を持たせて遊ぶことが出来ます。
着物はそれだけで既に見栄えが華やかです。決まりも大切ですしノーブルな華やぎも良いですが、現代的に品よく際立つ気負わないエレガンスを求めたいもの。付下げを色無地の感覚で着られるならお出かけのシーンに広がりが出ますよね。
結論…付下げは、着物と帯の麗しき調和を楽しんで、表情豊かに着分ける!自分らしい着こなしで是非プレシャスな時間をお過ごしください。
スタッフ マキコ