今、当店への依頼は「特注」や「別注」といったこだわりのオーダーが多くなっています。
柄や色、素材はもちろんですが、お仕立て一つとっても、こだわりの調整をかけることが多く、毎日が勉強の日々です。(守秘義務もあるので、ここに多くは書けませんが・・結構多いです。)
そんな中、今回オンラインでご注文いただいたのは「袋帯を名古屋帯にする」というオーダーです。
以前、当店のブログでご紹介したコーディネートに登場した白陵苑大庭さんの帯。
完売しておりましたが、お手持ちの飛び柄小紋に合わせるため、注文をしたいというご相談をいただきました。
問屋さんを経由して大庭さんにコンタクトをとってみると「基本的に袋帯の柄ですよ、でも名古屋帯の紋紙もあったかも・・」とのこと。
探していただき、特注品として名古屋帯で織っていただきました。
通常の名古屋帯に比べると柄の分量も多め、実に華やかで素敵な名古屋帯地ができました。
最近、お客様にはよく言われるのですが「ここまでやるお店はそうは無いでしょう?」とのことです。
「やっていることが製造卸と変わらない」と問屋さんに言われたこともあります。
実際問題、ある程度のルートがあれば、オーダーメイドに関する何らかの解決策はあると思いますが、あまりメジャーな話ではないようなのです。
私は、頼まれたことや困ったことには何とかお答えしたいし、「ここまでやるか」の一言が最大に嬉しいタイプです。デザインやトータルコーディネートまで承るケースも多いのですが、本当に気に入っていただけるもの、お似合いになるものへの探求を欠かすことはありません。
今回、LINEを通じて、川崎から離れたT様というお客様からご相談を受けましたが、顔の見えないやり取りの分、さらに頑張って活動してみました。小物のお見立てまでご用命いただき、光栄です。
水面下でバタバタと足を動かす水鳥のように、作品担当である私も、また、つなぎ手の問屋さんも、そして大庭さんも、お客様の「良かった!」目指した一生懸命の結晶です。
(西陣織のメーカーさんは制作ロットがあるため、複数織られるケースがほとんどです。今回は問屋さんにご厚意でその分を持っていただき、実現できたのです。連絡も迅速、頼りになります。)
気に入ったものとの出会いを待つより、作りに行く。
そんなアグレッシブな毎日も、結構楽しいです。
T様、ご紹介の許可をいただき誠にありがとうございました。
問屋M様、白陵苑大庭様も誠にありがとうございました。
作品担当 井上英樹