毎回、入荷即完売が続く古川さんの帯留めたち。
今回は数日ですが店頭にて展示、その後、オンラインで発表という流れをとってみました。
本当は、当ブログのコンテンツ掲載と合わせて発表したかったのですが、ありがたくも秋冬物の大量入荷に忙殺されて、時間差でのコンテンツ公開となりました(こちら、朝早起きして書いています)
今回は「グレイッシュな緑から水色へのグラデーション」というお願いに始まり、入荷後「翠玉色(エメラルドの色)」というテーマを後付け?的に思いついたのですが、古川さんは「紅葉の直前、秋から冬に向かっていく”みどり” 」を思い浮かべて配色をいただいたそうです。まさに、この秋、今を閉じ込めた色。詩的。
また、贅沢にも製作途中、メイキング写真の公開も許可をいただき、今回も豪華にお届けいたします(古川さんのnoteから写真もお借りできました オリジナルはこちら → https://note.com/matsurica_ )
最初の写真は初期のスケッチ、二枚目の写真は製作中の初期カラーです。
選びましたのは278をベースにした配色です。
ご覧いただくとわかるのですが、少し色味が完成バージョンよりあっさりとしています。
古川さんの作品はその透明感の際立ちが美しく、最大の効果を発揮するのはその柔らかい色目です。
ですが、当店の別注品は前回より透明度の高いガラス素材へと変更をお願いしておりまして、「濃い色めの硬質な表現」も、きっと素敵では?と思い、濃い部分をもっと濃くしていただけるか、相談をしてみました。
こちらが完成に近いバージョン。
濃い色が、さらに濃くなっているのがわかると思います。
古川さんの作品はミラーを貼り込むことにより、内側から輝くような表情を見せてくれます。そのため、おそらく、濃い色も暗くはならないだろう、との企みです。
そして、仕上げ。
丁寧に丁寧に磨き上げて、作品が完成します。
これも、なかなか貴重なカットです。
丸型の愛らしいデザイン、はなびは不変の人気作。
濃い色の差し色が表情を引き締めて、今回も素敵な作品に仕上がっております。
かすみの四角型は、比較的新しく当店の別注に仲間入りした作品です。
少し小ぶりで合わせやすいのはもちろん、古川さんの考える「ちいさなオブジェ」的な風情も漂わせる作品。
長方形のスタイルは、発表される3点の中で、最も切子の味わいとデザイン性を感じさせてくれます。
切子のラインを少しアレンジできませんか?と聞いたことがありますが、この絶妙な切子を調整することはできず・・まさに、完成されたセンスの逸品です。
そして、和装にも合うようにチェーンを短めにアレンジした、ピアスも素敵。
こちらは単色のグラデーションに限定されています。
ふんわりと小ぶりに浮かび上がるこのスタイルが、いい。
目を凝らすと世界は素敵なグラデーションで溢れています。
帰り道の、近所の、ただの夕空。
そんな中に見つける色調にも心奪われることがあります。
古川さんの今回の作品は「秋から冬に向かっていくみどり」というイメージがありますが、自然の中にある、ふとした素敵さを、硝子に込めることができたら。
空の色や、空気の色、自然の色。
そこにある何かを見つける旅は、きっと、ずっと続く。
もう、次の作品への相談を古川さんにしています、年末?ころにまた新たな世界がご紹介できると良いのですが・・・。
作品担当 井上英樹