作品担当 井上英樹です。
最近は「余白」のもつ美しさに魅せられています。
何も考えない空白の時間。
あえて余韻を残す、空間。
その世界感を確かにもった、作家さんをご紹介いたします。
aei 桑山明美さん
桑山明美さんは愛知県出身。
オブジェと彫金の装身具を主に手掛ける金工作家。
ギリシア語で永遠を意味する「 aei (アエイ)」がブランド名。
ご自宅に併設したギャラリー、個展、クラフト系のセレクトショップで作品たちを発表しています。
オブジェと装身具のあいだに
移りゆく季節。
夜空の美しさや星の瞬き。
桑山さんが写し取るのは、手に取ることのできない美しさ。
「オブジェの制作から始めました」
「装身具という視点が重なることで実用品にもなる」
桑山さんの世界観はオブジェの制作にルーツがあります。
オブジェという、実用品としてはもっとも遠いものを、実用品に近づけていく視点の展開。
真鍮やシルバーの素材感を大切に、丁寧に描写しています。
桑山明美さんの作品たち
「木漏れ日の万華鏡」帯留め / 千成堂別注
見えますが、手に取ることのできない木漏れ日。
キラキラと美しい輝きの一瞬を描写した作品です。
アーカイブを紐解き、かつて制作されたブローチを和装品へと再解釈していただきました。
素材は真鍮です。
裏側にはブランド名でもある「aei」が彫刻してあります。
「森への入り口」 帯留め / 千成堂別注
どこかの森でふと手にとった葉。
暖かみと葉脈の美しさ。
小さなパーツを一つひとつ組み立てた金工ならではのあたたかみがあります。
こちらはネックレストップからの展開です。
素材はシルバーです。
「みちくさ帰り道」帯留め / 千成堂別注
実際の葉を摘み、金属にローラーで写し取った「スタンプジュエリー」の作品。
一つとして同じものはできず、世界に一つの作品。
真鍮と銀の素材感の違いも楽しいです。
ブローチからの展開です。
「アジサイと雫」帯留め / 千成堂別注
抽象的な表現のあじさい。
雫の輝き。
銀の質感の楽しさで描いた作品です。
小さなパーツを一つひとつ組み合わせて生み出す、丁寧な仕事。
素材はシルバーです。
「原っぱ らっぱ」ピアス / 千成堂別注
原っぱ、らっぱ。
楽しい音が聞こえてきそうな小さなオブジェ。
心象的な世界を見せる愛らしいピアス。
アーカイブから制作をいただきました作品。
素材はシルバーと淡水パールです。
「虹のむこう」ピアス / 千成堂別注
何かきっと素敵なものがあるのでしょう。
虹の向こうというテーマで心象的な風景を描いた小さなオブジェ。
独特な世界を見せる愛らしいピアス。
素材は真鍮とシルバーです。
「おどるスカート」ピアス / 千成堂別注
ひらひらと風に踊るスカートを小さなオブジェに。
絵本のような、愛らしさ。
素材やテイストに当店の意向をお含みいただきました。
素材はシルバーと10金です。
職人さんが手掛けた桐の箱
帯留めは桐の箱に入れてのお届けとなります。
この箱自体、かつて使用されていたアーカイブとなります。
和、というイメージを加えるべく、選んでいただきました。
(ピアスは紙製の箱でのお届けとなります)
余白のある世界観を、溶け合わせていく
「余白」
桑山明美さんの作品に一貫して流れる、余白の美。
抽象的なモチーフであればあるほど、読み解き型の理解は難しくなります。
そんな時は、描かれたモチーフの外にある、空気や空間を感じてください。
その空間は、身につけるあなた自身に溶け合い、完成していきます
桑山さんの作品にある詩的な余白。
手に取るあなたの感性にきっと何か響かせてくれるはずです。
作品担当 井上英樹