「5月、アトリエの近くの公園に一斉に咲くジャーマンアイリス。一際に華やかに咲き誇り、また枯れていく、蕾も花弁の脈の流れも、また枯れていく表情さえも艶やか」
「葉のもつ鋭いシルエットと花の有機的な曲線のギャップも特徴としてとらえています」
注目の若手染色家「佐藤碧」さんの手掛けたジャーマンアイリスの帯揚げが届きました。
友禅染の技法で制作された帯揚げは、染め帯のように作り込む佐藤さんならではの力作。
配色も、雰囲気も。その一瞬のインスピレーションを一発で描きあげています。
こちらは紫と青の色味に感性が冴えた作品。
緑の入れ方も素敵。
彩度を落としたグレイッシュな作品も届いております。こちらは故・井上和子が出したアイディアを採用していただいたモデルとなります。
「モノトーンの配色に挑戦するのははじめてです」とのことでしたが、見事に描ききってくれました。
どちらも少し薄めで素材感のある生地に染め上げられています。
絽など透け感のある生地ではありません、盛夏を避けた単衣・袷の時期に幅広くご使用いただけます。
ご存知、帯揚げは着こなしのワンポイントであり、少し覗かせる感覚でおしゃれをするものです。
ですが、ここまでしっかりと描ききった作品なら、コーディネートの実用品としてもそうですが、「所有して楽しむアート作品」としての感覚が私にとっては強いです。
使ってよし、眺めてよし。
染色作品の持つ奥深い魅力を心ゆくまでお楽しみください。
作品担当 井上英樹