よく聞くお悩み、着物を着ると老けて見える。
これには、コーディネートでの対策があることをご存知ですか?
「落ち着いた女らしさのある着物姿は、良くも悪くも、年上の雰囲気が感じられるから」とも言えますが、せっかく着物を着ても老けて見えるのは悲しい。今回、その現象への対策術を公開します。
なぜ、老けて見えるのか
誰でも歳はとりたくないものですが、歳を重ねるほどに、豊かな人生経験が知性や感性、美意識も磨かれているはず。
私は、年を重ねることは美しくなることへの一歩だと考えていますが、演出やコーディネートに基準がないため、お洒落な方ほどコーディネートには混乱しているとお見受けします。
まず、老けて見える原因を明らかにして、対策をすることを考えましょう。
代表的なものを二つあげます。
ダークトーンの考え方を間違えている
「洋服を選ぶように大好きな色で揃えたのに、ぱっとしない。」これは最も多いケースです。
モノトーン、ダークトーンの好きな方が着物を選ぶと、黒系、グレー系が多いように思いますが、これはもっとも着こなしの難しい着物です。都会的な感覚、というワードをグレーと直結させるのは少々考えが硬い。
特に、着物と帯をくすんだグレーで揃えた場合、華の無い所詮「老けて見える」着こなしになりがちです。
この場合、色を選ぶ基準を見直すことを私はお勧めいたします。
黒やグレーはとても幅の広い色味です。
私は老けて見えないためには、無彩色ではなく、「奥に色味をもった」着物や帯を選ぶべきだと考えています。
例えば、「ピンクの彩度を下げた先にあるグレー」や「華のある女らしい紫みのグレー」、そして「あたたかみのある茶系の墨色」には、老けて見える現象を回避する、女性らしさを引き出せる色味です。
まず、洋服の感覚で選ぶときには、色の奥にある色味に注意することです。
さらに「世界基準の感性」を帯や小物に効かせるのも、私は意識しています。
当店のインスタでも登場することの多くなった。型絵染の帯や、古典柄でもヨーロッパを思わせる色調やデザインの帯などは、日本を飛び越えて海外でも通用する、まさに世界基準の感性です。
自由なイメージの柄や、生き生きとした色の楽しさ、それをくみあわせると、コーディネートに新鮮さが生まれ現代の着物姿が誕生します。
ただの無彩色の着こなしではなく、現代的で世界基準の美しさ。これは鮮度の高い感覚であり、老けて見える着こなしとは無縁です。
これからの話ですが、品の良い小さなピアスやイヤリング、イヤーカフなども提案をしていきたいと考えています。
「エイジング」は常に進み、似合うものは変わる
最近とくに多く見かける言葉にアンチエイジングがあります。
医学、運動、フードなど私たちを取りまくほとんどのものに浸透してしますし、さらにいえば美容整形、化粧品様々なエクササイズなどきりがなくあります。一人の女性として思いますが、美しさへの追及は永遠のテーマであり、人生をかけるに値する楽しいことの一つです。
エイジングとは歳を重ねることであり、アンチとは対抗することです。
エイジングに対抗することが文字通りアンチエイジングと言います。
この対抗という言葉に実はコーディネートを間違わせる罠が潜んでいます。
年齢に対抗するために、あまりにも度を越した華やかな色柄のものを身に着け選んでしまう方がいらっしゃいます。
お顔映りの良い着物を選ぶことは非常に大切なのですが、これは、失敗すると「痛い」「若作り」に陥る場合があります。
先に書きましたが、私は歳を重ねることは美しさが成熟していくことだと考えています。
華のある着こなしは、何も度を越した華やかさの中だけにあるわけではありません。
対抗するのではなく、熟成した豊かなセンスと美意識であなたを真に引き立たせる色味を選ぶことが大切です。
また、女性は似合うものが常に変わっているのではないでしょうか。
ライフスタイルやあなたを取り巻く環境は常に変化しています。一つ年をとったことが肌色や体形の変化に表れ、似合うものや相応しいものは常に変化しています。これを客観的に見つめるのは相当に難易度が高く、よほどの達人でもなければ現実的はないのかもしれません。
ですが、このエイジングということと、着物ということを合せて考えるだけで、ご自身にぴったりとあった、素敵な色味やコーディネートの物差しになるはずです。
「似合うものは変わる」これは、テクニックを超えた真理といって良いでしょう。
そうなのです、度を越した華やかさというのも逆説的に老けて見える原因なのです
老けて見えない着物
まとめると私は「ダークトーンの考え方」と「エイジングへの対抗」に、老けて見える着こなしの罠が潜んでいると思います。
自分自身の持つ個性を華やかに、違和感なく、素敵に魅せるものを選び、そして、着る。
これは老けて見える着姿に対する最高の対策だと考えています。
なかなか難しいですね。でも、楽しいですね。