こんにちは、千成堂着物店 コーディネート担当 井上和子です。
十月は本来衣替えですが、最近は気温の高い日も多く、単衣を着る方も多くなりました。
気温が高い日もあります、そんな時は無理に袷をお召しにならず、快適な単衣で着物を楽しむのは正しい選択だと思います。
でも、暑いからと言って夏と同じ様なコーディネートにしていませんか?それは、寂しいし残念です。
快適に、そして、秋を感じさせるように・・。今回は単衣でも、秋を忍ばせるコーディネート術をご紹介しようと思います。
秋色を帯回りに必ず入れましょう
先に貼った写真は、御召の単衣と吹き寄せ柄の帯のコーディネートです。
帯留めにも実のなった葡萄の作品を選び、さらに秋の空気を強くしてみました。
秋の着物コーディネートを選ぶとき、私はまず一番に、秋の色彩「秋色」を帯回りに選びます。
少しくすんだベージュや茶系には、誰もが潜在的に秋の空気を感じると思います。
秋色と言っても種類が多いです、こんな時には日本の美意識の中にある、色彩から秋を感じさせる色を選びます。
たとえば柿色、栗色、ブドウ色・・これらの色を見れば、人は必ず秋を連想しますよね?
これらの色を差し色として、帯揚げや帯締めに使うと秋らしい雰囲気が出せます。
当店で特に人気の秋色は茶系、紺系、墨色系。まずはこのあたりを揃えておくと、良いと思います。
「上級者を目指すなら、柄物を足しましょう」
また、無地系の帯揚げ、帯締めが少し物足りなくなってきた上級者の方、当店のインスタ
でも最近多く使っていますが、多色使いの柄の入ったものでグレードをワンランクあげた
コーディネートで秋の着物姿を、楽しんでみてはいかがでしょうか。
これは本場結城紬と洛風林さんの帯のコーディネートですが、帯揚げに少しインパクトのある柄を持ってくるだけで、今年らしい新鮮な表情が生まれます。
引き算のコーディネートも素敵ですが、トーンを揃えた色味を程よく足していくのも覚えたいテクニックです。
「まとめ」
9月末、10月となると暑さもだいぶやわらぎ、着物がいよいよ楽しめる季節です。海に囲まれ、山の多い日本には四季があり、季節ごとの美しい自然の色彩が楽しめ、旬の美味しいものを味わう事もできます。
この恵まれた環境の中で育まれた日本の美意識が存分に生かされているものの一つが着物です。仕立てられる形も袷、単衣、薄物などがあり、春夏秋冬を意識した柄があります。
また、もう一つ欠かせないのが色合いです。
帯締めや帯揚げ、秋色の差し色テクニックをマスターして、もっとこの秋の着物を楽しんでみませんか?