待望の入荷です。東京都立川市のガラス作家「古川莉恵さん(matsurica)」にお願いしていた、切子の帯留が届きました。題は「かすみ」と「はなび」です。
古川さんとは八王子の展示会(注染作家 内藤早苗さんとの二人展)でご縁をいただき、新作の中から切子の帯留をお願いしていました。
コンセプトとして、お願いしたのは「シーズンレス」ということ。ガラスの作品はどうしても夏の季節や浴衣に向けた作品が多いのですが、質感の高いガラス作品であれば、私的にはそこまでシーズンにこだわらず素敵に合わせられると感じていたからです。
古川さんの作品は拝見するまでペールトーンや彩度の高い作品の印象でしたが、マットな質感やこっくりとした濃い色味にも、上質で表情豊かな世界を感じていました。
そのため、作品の中でも上質感の際立つ「切子」をセレクトさせていただき、マットな感覚と彩度を押さえたリクエスト致しました。それは、シーズンを超えたガラス作品へのアプローチです。
当初は秋色ということでワインレッドをお願いしたのですが、彩色の段階で、「はなび」はエメラルドのような色味に変更をいただきました。「かすみ」には宝石のような輝きを得るため、グレーの分量を調整いただきました。
古川さんの作品は一つ一つ、色鉛筆で彩色をします。そこにミラーを貼りこむことで、ふんわりとした色味が生まれてきます。細かい調整もいただけたのは、その独自の技法にも理由があります。
また、それはある意味で「輝石」への挑戦でもありました。
もし、ガラスの作品が宝石や輝石のような作品と同じ方向だとすれば、季節性は全く不要なキーワードになります。実際に出来上がった作品を見て、フォーマルの宝石の帯留にも匹敵するような上質感を感じました。
全体はマットに仕上げて、研磨した透明感のあるラインを走らせてあるのも、表面に表情を生み出し、高級感を感じさせてくれます。
この時期にあえてご紹介するなら、きっと、こちらの世界観ではないでしょうか。ある意味で「ガラス」という素材を超越した、逸品に仕上がっています。
クラフト系のセレクトショップではすでに人気作家の古川さん。和のジュエリーにも挑戦いただけるととは嬉しいことです。