お世話になっております。作品担当 井上英樹です。当店のコーディネート担当といえば井上和子(私の母です)ですが、コロナウイルスで少し時間が取れる今、休養をとっています。気管支が少し弱く、この機会にメンテナンス・・だそうです。元気な病人というのも変な言葉ですが、一応元気です。
ということで、現在、井上和子に代わり、私がコーディネートに関する部分も見ておりますが、コーディネートのしやすい着物を選ぶのは大切なことだと感じています。帯が合わせにくい着物はどうやっても難しいのです。柄の目立つ着物は私にとっては特にコーディネートの難易度が高いのですが、織りの着物は織り出された柄に素敵さもあります。ということで、程よい柄の感覚を持つ着物を選ぶのは良い選択肢だと思います。

今回、入荷した新里玲子さんの宮古上布「潮音」は、まさに程よい柄の感じがある着物です。ご存知、夏の着物の最高峰として名高い宮古上布ですが、新里さんの作品は女性の感性が生きた「実際に着たい素敵な着物」であることに大きな特徴があります。寄せては返す波の音、そのリズム感を表現したのでしょう、藍で染めた優しい色合いで織り出したリズミカルな柄は、新里さんの着物にしかない透明感のある美しさです。

さて、この宮古上布にどうコーディネートをしていきましょうか。私は喜如嘉の芭蕉布の帯を選びました。これは花織は施されているものの、単彩です。柄の着物をコーディネートするときには帯はトゥーマッチにならないように柄を引き算しますが、ただの無地帯では面白くありませんし、宮古上布の質感につり合いがとれません。喜如嘉の芭蕉布八寸は糸にしっかり感があり、宮古上布の質感に負けないのです。そして、単彩は柄の着物をすっきりとまとめてくれます。

少し前、雑誌美しいキモノさんに提供した着物コーディネートでも使いましたが、和小物さくらさんの夏の唐組帯締めが本当にぴったりと合いました。無地感覚の帯をコーディネートする場合、柄のある帯締めは是非お勧めです。帯回りに効果的なアクセントを添えてくれて、とてもお洒落に見えます。
帯揚げは衿秀さんの麻帯揚げを選びました。真っ白ではなく少し色を入れてあるのが嬉しい。織りの着物の持つ素朴さや糸の雰囲気にしっとりと馴染んでくれるからです。

着物コーディネートは、一つ一つのアイテムの質感を合わせることと、柄たちがケンカをしないように馴染ませることがポイントだと私は考えていますが、まず、手に入れる段階からコーディネートは始まっていると思います。もし、ここで着物や帯がけたたましい柄だったりすると・・コーディネートの難易度が格段に上がってきます。
程よい柄の感覚と、すっきりした雰囲気。このあたりを気を付けて、作品たちを眺めていこうと思います。
今回の新里玲子さんの宮古上布、喜如嘉の芭蕉布の帯はそんなことを思わせてくれました。それにしても・・どちらも素敵ですね。


