飽きた気持ちを、新しい帯でほどく ーー 北村武資の「羅」で夏を刷新する
お気に入りの着物や帯を長く愛用していると、ある日ふと、こんな感覚がよぎることがあります。
「なんだか最近、似たような着姿ばかりになってきた気がする」
「おしゃれしても、ときめきがない」
それは、“着ること”に慣れたからこそ訪れる、小さな飽き。けれど、その違和感は、あなたの美意識が健やかに育っている証でもあります。
そんなときこそ、新しい一本の帯が気分までも新しくしてくれるのです。
そして、その「刷新」の感覚を最も確かな形で叶えてくれるのが──人間国宝・北村武資が手がけた「羅」の八寸帯です。
名実ともに、夏帯の頂点へ

着物の世界において、“夏の最高傑作”と呼ばれる帯は数えるほどしかありません。なかでも、北村武資氏の「羅(ら)」は、その美しさ・織の妙・存在感、どれをとっても別格と言えます。
軽やかに透ける織りは、見る者に凛とした涼感を与え、装い全体の印象を見違えるほど洗練させてくれます。しかも遠目にも「良い帯だ」と伝わる風格。見た人が“ただものではない”と感じる帯です。
2022年に北村氏が逝去されたのち、工房によってその技術は受け継がれているものの、現在は制作数そのものがごく限られており、「羅」の帯はますます希少性を高めています。
いつもの着物が、新しい自分に映る。
飽きをほどくのは、こうした“本物”の力です。
人間国宝・北村武資とは
1935年、京都生まれ。15歳で西陣の機屋に入り、織の道を志した北村武資氏。龍村美術織物での修業や、友禅作家・森口華弘氏主宰の研究会への参加を経て、1965年に日本伝統工芸展で初入選・受賞。
1972年、中国・漢墓から発掘された古代の「羅」を見て大きな衝撃を受け、自らの技術で復元と昇華に挑みました。
その成果は1995年に「羅」、2000年には「経錦(たてにしき)」が重要無形文化財に指定されるという形で結実し、
北村氏は、二つの技を同時に極めた希有な存在として、今も語り継がれています。
「上品羅」──美しく、涼しく、心をほどく一本
北村氏の「羅」は、古代の織の再現でありながら、現代の感性に寄り添う美しさをもっています。緊張感のある織りの構造に、しなやかさと静けさが宿る──それが「羅」の最大の魅力。
締めると背筋が伸び、姿勢が整うような感覚。
けれど決して堅くなりすぎず、むしろ“今の自分をもっと好きになる”帯です。
この夏、当店では「白」と「白茶」の二色をご用意しました。
それぞれに違う魅力を持ち、飽きを越えて気分を新しくしてくれる、最上の二色です。
凛とした清涼感──上品羅「白」の見どころ

清らかで、迷いのない白。その美しさは、夏の陽光のもとで際立ちます。
なんでも合う万能性:
色無地、小紋、付下げ、織りの着物・・・白の羅は幅広い着物に自然に寄り添い調和します。着物を選ばないということは、着る場面を選ばないということ。略礼装からお茶席、観劇まで対応できる力を持ちます。
王道でありながら、見違える新しさ:
特に淡い絽や紗に合わせたときの“完成された涼感”は、まさに王道!素敵な装いを完成する説得力は無二です。
着姿を引き締め、気持ちまで整える白
ただ涼しげなだけではなく、自身の所作まで美しく感じさせてくれる、静かな力のある帯です。
今まで何度も着たお気に入りの一枚が、白の帯で見違える──そんな着姿の“刷新”を叶えてくれるのはこの「白」です。
「白」で整える、静けさと気品のある装い
こちらは、2種類の装いに「白」の羅帯を合わせたコーディネートをご紹介します。

ひとつは、東郷織物による本場夏大島紬「風かおる」に合わせた装い。
ベージュ系の地色に繊細な絣が全体をやさしく包み込み、まろやかな白の帯がその世界観を引き立てます。軽やかな透明感が夏の空気に心地よくなじみ、「きちんとしながらも涼やか」な洒落着としての完成度が際立ちます。

一方、もうひとつは、柳鼠色の絽付下げ「萩と流水」との組み合わせ。
弊店が吉澤に別注する、洗練された付下げに、白の帯が加わることで、装い全体にさらなる格と清涼感が宿ります。
柔らかな光沢と控えめな柄の着物に、白がもたらす“静かな強さ”が加わることで、正統派の装いながらも、飽きの来ない新鮮な印象に。
着物の印象を損なわず、むしろ“引き上げてくれる”──
そんな白の帯だからこそ、また新しい気持ちで着たくなるのです。
大人の余裕と洒落心──上品羅「白茶」の見どころ

白にほんのりと茶を含ませた「白茶」。その微妙なニュアンスが、着こなしに奥行きをもたらします。
抜群のおしゃれ感:
一言では表現できないほどの絶妙な色味が、見る人にこなれた印象を感じさせます。
大人の女性らしい落ち着き:
藍、利休、薄墨など、深みのある色の着物とも美しく調和します。
柔らかな存在感で着姿に変化を:
派手にならず、それでいて記憶に残る洗練された着姿を演出できます。
一歩引いた美しさと、自分らしい選びのセンス。
それが「白茶」の持つ魅力であり、新しい一枚に出会うよろこびです。
「白茶」で魅せる、一際に上質な夏コーディネート

こちらは、弊店別注の絽付下げ「葵」と、「白茶」の羅帯を合わせた一式。五泉の三越駒絽(720g)を使用した、色・柄・生地に妥協を許さない別注品。
そこに「白茶」の帯を合わせることで、抑制された美しさと余白をもつ夏の装いが完成します。帯まわりは、異なるシーンに合わせた2つのスタイリングをご提案。
まずは唐組の帯締めを合わせた、ベーシックなコーディネート。すっきりとした柄付けの付下げに品格を添え、フォーマルな場にもふさわしい正統派の装いです。

一方、梅村更紗さんに別注したミニマルな帯留めをあしらったスタイリングでは、ぐっと洒落感が増し、引き算の効いた柄と帯の静かな存在感が際立ちます。お集まりや観劇、お食事の席などにぴったりの上質な洒落着コーディネートへと印象が変化。
帯ひとつで、「着姿の格」も「気分」も、こんなに変わる。
その楽しさと奥深さを、ぜひご体感ください。
最高の夏帯、さあ、あなたはどちらを選びますか?
白か、白茶か。どちらも、今のあなたを一歩先へ連れて行ってくれる「刷新の一本」です。
飽きた着姿を超えて、気分を一新したいとき。
長く着てきた着物に、再び新鮮な魅力を与えたいとき。
自分の“今”にふさわしい、美しい一本を選びたいとき。
洗練と品格の「白」か。
洒落心と余裕の「白茶」か。
選ぶ色に、あなたの美意識が映ります。
さあ、新しい一枚で、気分を変えてみませんか?
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