大人の女性こそ、明るい色を着る──知的に軽やかに映える、夏コーディネート

「もう派手な色は似合わない」「落ち着いた色のほうが安心」──
そんなふうに、歳が満ちるにしたがい着物の色選びがトーンダウンしてしまうこと、ありませんか?
けれど私たちは、日差しの変わる今「大人の女性こそ、明るい色を着るのが素敵」だと、お伝えしたいのです。
勝山さと子さんの着尺で見つけた大人向けの「薄灰黄」

今回ご紹介するのは大人の女性を「知的に」「軽やかに」そして、美しく見せる、夏の着物コーディネート。淡い光を纏うような勝山さと子さんの着尺「縞市松(薄灰黄)」に、織楽浅野の九寸名古屋帯「天平花」を合わせました。小物は白〜グレートーンで統一し、すっきりとした清涼感を演出しています。
なぜ「明るい色」が大人の女性に似合うのか?
まず注目したいのが顔映り。明るい色の着物は、肌に自然な光を添えて血色感を引き立て、表情をパッと明るく見せてくれます。特にこの「薄灰黄」は、くすみを抑えつつ上品さを残す絶妙な色合い。まるで光のレフ板のように、肌をやさしく整えてくれます。
さらに、明るい着物は全体の着姿をふわっと浮かび上がらせる効果も。写真映えはもちろん、暗めの室内でも沈まず、清潔感と存在感を兼ね備えた装いになります。
そして何より、この勝山さんのつくる色がもたらすのは若々しさはもちろん、大人らしいの“余裕と洗練”。満ちる今だからこそ、品格を伴って美しく映えるのです。
着姿を完成させる、品のある調和

勝山さと子さんの着尺「縞市松」は、透け感のある薄機で、盛夏の軽やかさと上質感を両立。控えめな艶としなやかな落ち感は、夏の織物の中でも特に美しい仕上がりです。
帯は、織楽浅野による九寸名古屋帯「天平花」。生成りの地に白と銀糸で織られた文様が静かに浮かび、落ち着きの中に確かな華やぎを添えてくれます。色無地から小紋、軽めの付下げにも好相性の帯です。様々なコーディネートで楽しめますね。

平置きで取り入れたのは、同じく勝山さと子さんの帯「真田段」。
透明感のある、洒落たニュアンスが素敵な帯です。先にご紹介した浅野さんの帯に比べると、さらに抜け感のあるカジュアルなニュアンスが表現できます。

帯まわりには、中村航太さんの綾竹手組「矢羽根」帯締めをセレクト。薄梅鼠と白よごしの控えめな配色が、全体をすっきりと引き締めます。レース糸を用いた軽やかな表情と、極上の締め心地は、中村さんならではの感性が光る一本です。

帯揚げは今年も好評の和小物さくらさん。夏用を合わせ、光のニュアンスを引き立てながら、品のある仕上がりに。履物も透明感のある白いエナメルを選びました。弊店が衿秀さんに制作を依頼している別注草履です。

格好よさを引き出す「濃いめの地色」の帯合わせ

同じ「薄灰黄」の着尺でも、合わせる帯によって印象は大きく変わります。
たとえば、より落ち着いた年齢の方や、格好良さ・知性を強調したいシーンには、黒地の帯を合わせるスタイルもおすすめです。
こちらは、京友禅の染匠・成謙が手掛けた手描き友禅の九寸名古屋帯。江戸解文様の構成を生かしながら、色を抑えた控えめな縫いと線の美しさが際立ちます。地色の深い色が、淡い灰黄の着物を引き締めて、凛とした印象を与えてくれます。
同じ着物を、やさしく着るか。格好よく着るか。
どちらも引き立ててくれるのが、勝山さと子さんの「薄灰黄」のすごさなのかもしれません。

明るい装い、あなたらしく。その着こなしが気持ちも、空気も、美しく変えてゆく。
明るい色には、着る人の気持ちを前向きにし、まわりの空気さえ変える力があります。
ぜひこの春夏、あなたらしい“明るさ”を纏ってみてください。装いが変われば気持ちも印象も、ぐっと新しく、美しくなるはず。そうです、これがきっと着物の醍醐味です。
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