
雪の白、藍の深み──越後上布と型染の名古屋帯で愉しむ、夏の装い
日差しがまっすぐに降り注ぎ、風が肌に心地よく感じられる頃──。
本格的な夏に向けて、涼やかで洗練された装いをお探しの方へ、特別な一式をご紹介いたします。
幻の夏衣「越後上布」──涼をまとう美の極み
ご紹介する着物は、産地全体でも年間20反ほどしか生産されないという、越後上布の着尺。重要無形文化財に指定された伝統技術──手績みの苧麻、手括りの絣、地機織、雪さらし──すべてを満たす、まさに“幻”といえる逸品です。
手掛けたのは、越後上布を代表する故・小河正義氏。新潟県の工房を訪ね、ご本人に直接依頼し別注制作をいただいた秘蔵作品です。また、生前最後に制作された証紙付きの貴重な作品であり、今後の入手は叶わない特別な一反です。
柄の復刻にあたり、新たに図案を起こし、経糸と緯糸の組み合わせを工夫。まるで雪のように澄んだ白の地に、藍の経絣がさわやかに映え、盛夏の空気に溶け込むような軽やかさと品格を感じさせてくれます。肌をすり抜ける風とともに、自然素材ならではの清涼感をお楽しみいただけます。
武村小平さんによる名古屋帯──涼感と美意識が息づく型絵染

帯には、滋賀県の型染作家・武村小平さんによる九寸名古屋帯を合わせました。
こちらの帯は、藍を基調とした地に、リズミカルに咲くコスモスの花が染められています。整然と並ぶ花々の姿は、風に揺れる夏草の情景そのもの。どこか懐かしく、静かで、涼やかな余韻を感じさせてくれます。
白、生成り、グレー、そして深い藍の他にない色味です。古い琉球藍型に着想を得た、甘さを抑えた色調が、落ち着いた大人の装いにぴたりと寄り添います。図案的な構成は、夏だけでなく単衣や袷にも応用可能。芯の入れ方次第で幅広い季節に対応する、実用性と美しさを兼ね備えた一本です。
素材には、程よい透け感と上質な手触りが魅力の「栃尾紬」を採用。型彫りから染色まですべてを一貫して手掛ける「型絵染」の手仕事が、細部にまで美意識を宿らせています。
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