今回ご紹介するのは、型染作家 武村小平さんの九寸名古屋帯です。今年の新作も揃いました。
武村さんは弊店が「染・織作家さん作品の取り扱い」を始めた頃、言うなれば、初期の頃よりお付き合いいただく作家さんのひとり。近年は別注品、オーダーメイドを中心に作品の発表をいただいています。弊店の希望も汲んで下さり、和と今の両立した、現代的な帯をご提案いただいています。
弊店のコーディネートを好んでくださる皆さまには、武村さんの帯は必ずワードローブに加えていただきたい・・それほどに、おすすめの作品が揃う作家さんです。合わせやすさも抜群で、様々なお着物にこだわりの世界観が表現できます。
早速、コーディネートと共に見てまいりましょう。
佐藤新一（白たか織）「白鷹の手花織 千成堂別注」 着尺 に 武村小平 「ムクゲ 千成堂別注」 九寸名古屋帯 を合わせる
ふと目に留まる自然や草花をモチーフにした作品に高い評価を得る武村さん。こちらは、草花「ムクゲ」を描いた作品です。白の品種のイメージです。優しい曲線と、丁寧に設計した空間のバランス、そして配色の妙。デザインはもちろん、型彫りから染色までを一括して手掛けています。
「栃尾玉紬」を生地に使用、また、配色は弊店のイメージを含んだ別注カラーです。ムクゲの開花時期は7-9月ですが「抽象的でアートなグラフィック」です。夏芯ではなく、カラーの通常芯を入れることで単衣帯（場合により袷にも）としてもお仕立てが可能です。季節を限定せずに、「お気に入りの帯！」としてお手に取っていただければと思います。
合わせた着尺は、山形県 米沢市 白鷹産地の置賜紬 伝統工芸士 佐藤新一さん要する、白たか織。工房の手織り作品です。こちらも当店が企画より手掛けた別注作品となります。
爽やかな色味は透明感を湛えたアッシュな薄藍色系。草木染をベースに染色された糸は大人に似合うニュアンスのあるお色。寒色の中に、暖かさを宿す色は単衣に、袷にと素敵にお召しいただけます。
深い艶めきは良質な生糸から生み出されたものです。名古屋帯はもちろん、軽めの袋帯も十分に対応。様々な場面で一際に素敵な装いをお楽しみいただけます。
帯も着物もあまり季節を選ばず楽しめるのは、それだけでコーディネートの幅が広がります。「美しく万能」とは嬉しい限り。ご紹介した着尺と帯は強い味方になること間違い無しです。
本場久米島紬のゆうな染着尺 に 武村小平 「ヤマシャクヤク 千成堂別注」 九寸名古屋帯 を合わせる
こちらはヤマシャクヤク（山芍薬）を独自の視点で描いた作品。こちらも上記「ムクゲ」同様、今回、透け感の程よい「栃尾玉紬」を生地に使用。配色は当店の意向を含み、オリジナルとして練り上げていただきました。開花時期は4-5月ですが、夏帯としてはもちろん、カラーの通常芯を入れることで単衣帯（場合により袷にも）としてもお仕立てが可能です。
コーディネートとしてお目にかけたいのは「白」でも合うところ。合わせるお着物に白系を持ってきますと、帯の主役感が増し、帯周りの小物で遊べる幅が増えます。今回は紫系で落ち着いた雰囲気ですが、帯の中から辛子色を拾って黄色系で華やかにするもの有りです。そして、個人的には今の気分で錆色などの赤茶系で明るく遊びたいとも思ったり。
武村小平 「ササユリ 千成堂別注」 九寸名古屋帯 濃藍 夏帯〜単衣帯 染め帯 型染め
こちらはササユリ（笹百合）を独自の視点で描いた作品。配色は弊店のイメージを含んだ別注カラーです。上記の作品たちと同じく「栃尾玉紬」の生地を使い、夏帯・単衣帯（カラー芯を入れて袷帯）というコーディネートができます。
私的に、今回の新作の中では一番「夏」を感じた作品です。また個人的な感想ですが、夏の「藍×白」は最強です。実に大人の夏を感じさせる素敵な作品です。
合わせるお着物はわざと藍にして帯と調和させ、ワンピース風に百合を引き立たせるのもワクワクしますし、黒をチョイスして大人の雰囲気をさらにアップさせるのも美しいでしょう。そして間違いの無い白も素敵。コーディネートを考えると 合わせる日傘までも妄想が膨らみます。
藍系結城紬の着尺 に 武村小平 「睡蓮唐草」 九寸名古屋帯 を合わせる
こちらは睡蓮を唐草とあわせ独自の視点で描いた作品。アートな雰囲気と工芸的な味わいが見事に混じり合います。こちらも厳密にいえば、睡蓮の開花時期（5～10月頃）はありますが、あくまでもグラフィカルであり、あまりこの帯には当てはまらないと思います。秋冬の袷に、そして単衣に、ぜひご愛用いただければ幸いです。
こちらは、新作とは違い質感の良い「信州紬」を生地に使用、武村さんも染め上がりと雰囲気の良さからよく選ぶ生地感をご堪能ください。
合わせた着物はヴィンテージの結城紬なのですが、藍色とも相性の良い武村さんの帯を感じていただけますでしょうか。帯の中に藍は使用されていないのですが、それでもこんなにしっくりと合うのです。流れるような唐草がまるで水流でもあるようで、そこに表現される睡蓮の美しさが際立ちます。
季節をまたいでコーディネートを楽しめる武村さんの帯…あなたなら１本？２本？どれをお迎えしたいですか
様々な色めに合わせて楽しめる武村さんの帯。着物や小物の配色の「トーン」を合わせると、とても素敵にマッチします。
帯がどれも素敵で迷ったら、お気に入りの柄から選んでみてはいかがでしょうか。柄を決めたら透け感のある無し、そう、生地を選んでみましょう。お手持ちのお着物の季節感に帯の生地を合わせるのも良しです。生地や色目、生地・・あなたならどう揃えますか？
＜スタッフ マキコ＞
