藍染、その通り藍で染めたもの。
ジャパンブルーともされ、日本人としての郷愁を感じさせる伝統的な染色。
あまりにも美しいのですが、あまりにも定番。
私的にはなんとなく、くすぐったくて、一押しにしていませんでした。
ですが、平敷慶彦さんの作品を見て「この世界感なら、推せる!」と心から思ったのです。
平敷さんは、その名字の通り、沖縄県にルーツを持つ染色家。
現在は岩手県を拠点に、沖縄県から取り寄せるキツネノマゴ科「琉球藍」で布やオブジェクトを染めています。
ご家族と共に営む工房「琉球藍染工房」の代表であり、滋賀県には直営ショップ「ウメノコヤ」を設立、『今のくらしに優しく溶け込む藍染』をテーマに日々、作品を発表しています。
ご自身は元スノーボードの選手であり、またプロフィールにあるのですが息子さんはラップをはじめストリートカルチャーを愛する、そんな現代的な感性のご一家です。
例によって、ある日オンラインを徘徊していると、雰囲気の良いワンピースにまず目が止まり、あれ?なんだろう?と惹き込まれ・・気がつくとその作品たちを俯瞰、徘徊、いても立ってもいられずお声掛けしてしまいました。
平敷さんの琉球藍の日傘
平敷さんは特に着物畑の作家さんというわけではなく、洋服やのれんなど幅広く作品を手掛けています。
かつてはスノーボードの選手として活躍されており、息子さんはDJやヒップホップなどストリートカルチャーを愛する方、また奥様、お嬢様も感性の人であり、「格好良いこと」へのフィルターに優れた方たち。
実は、私は一番最初に目を止めたのはワンピースとTシャツ、その現代的で洒落た雰囲気をスライドしてつくられた「日傘」には衝撃を受けました。
琉球藍で染めた冴えた青、すっきりと澄んだ白。
幾何学も、具象も、どこか洗練されたデザインを感じさせる作品群は、無二のものでしょう。
当店は一応「和装」をメインにしたセレクトショップのため、洋服は難しいのですが、現代的にブラッシュアップされた当店の考える和装のコーディネートには、ぴったりだと感じました。
こちらは、花柄の日傘です。
甘さと辛さを絶妙のバランスで兼ね備えた、素敵な作品。
蛙張りといわれる、裏側にも生地を張った仕様です。
裏から骨が見えず、また、絞りで抜かれた花が実にエレガント。
こちらは織縫い絞りの技法で薄藍気味に染めた作品、織縫いしぼりはその独特な縞の表現が特徴、葉っぱなど有機的な柄にも用いられます。
そしてこちらは板締め絞りの日傘。
先に入荷していた蛙張り・織縫いしぼりの二本は、instagramで掲載した即日で完売。
3点目のこちらは、後から平敷さんにお願いした追加の作品。
幾何学模様はセンスが問われますが、まさに、間違いのない感性の仕事。
日傘はもちろん、浴衣なども取り組んでいきたいな・・と
今回、最初のご縁として日傘をお願いいたしましたが、水面下では浴衣のことを話していたりします。
当店は基本的に浴衣を取り扱わないのですが、平敷さんのこのセンスならきっと品格と愛らしさが同居する素敵な浴衣もできると考えています。
だんだんと取り組みの幅を広げていきたいな、と思いつつ、まずはおすすめの日傘からぜひご覧くださいませ。
作品担当 井上英樹