さて、皆さま。
「洗練された着物コーディネート」
って一体、なんでしょうか?
いわゆるドレッシーな感覚の織りの着物や、染織作家さんの新しい感覚の帯、また、引き算のコーディネートは、間違いなく洗練された着物コーディネートに仕上がるパーツです。
ですが、最近私は「産地の伝統染織」にも、洗練された雰囲気を感じていたりします。
新しい視点で見る、絣
絣とは、糸を染める時に染まるところと、染まらないところを分けてつくり、その糸で織り上げることで柄をつくる技法です。
この絣というのは曲者で、気を付けないと どうしても、野暮ったくなります。
また、染織作家が意図して新しい雰囲気を目指して、組み込むこととは違い、産地のものはどうしても野暮ったさが目立ちがちです。(そこがまた雰囲気があって良いのですが・・)
ですが、産地の染織界隈でも、すっきりとしたお洒落な雰囲気の絣を見ることができます。
特に「沖縄」の作品たちに。
琉球藍の久米島紬の絣に見る、洗練
例えばですが、こちらは「本場久米島紬」の着尺です。
琉球藍を使って染められた絣は、少し染料にたいして大らかな制作ルートでしか作られておらず、希少です。
こちらは、他の久米島紬に比べると、絣が単彩ですっきりとしており、久米島紬の他の作品に比べても洗練された印象をうけます。
透明感のある藍色の中に白が抜けた意匠は、星空のように清々しい。
琉球絣の中に見る、洗練
また、こちらは大城一夫さんの「本場琉球絣」、こちらはさらに地の隙間の多い、すっきりとした作品です。
すーっと流れるように伸ばした絣の足が絶妙。
こちらもまた、洗練されたものを感じます。
無地場を大きくとることで、抜け感のある絣柄を実現しています。
お洒落ですねえ・・。
進歩を続ける琉球染織は、洗練の絣の宝庫
図らずも、二つのコーディネートは沖縄の織物「琉球染織」に属する作品です。
強い日差しに負けない発色や、大らかな表現は実に懐が深く、着る人を素敵に魅せてくれます。
なにものにも縛られない、独立型の染織作家さんの作品はもちろんなのですが、今、私の眼には産地の染織、特に沖縄の作品が新鮮に映っています。
不思議です、人間、やっぱり一周回って原点に・・ということはあるものです。
絣柄にも洗練されたものは、あります
当店のセレクトの基準として「洗練されている」というのはとても大切なことです。
ですが、その洗練の解釈がワンパターンになってもつまらない。
いわゆるドレッシーな織の着物に感じる洗練はもちろんなのですが、伝統的な染織の中に新しい意味での洗練を見つけることも、私にとってライフワークです。
今年は目にも新鮮な「すっきり絣」に挑戦してみませんか?
作品担当 井上英樹