
作品担当井上英樹です。 いよいよ、情報を解禁(インスタグラムは先に公開していましたが)。染織作家 大月俊幸さんにオリジナルの帯の制作をお願いしました。大月さんは長野県松本市の山あいに工房を構える染織作家。奥様も同じく染織作家の久保原由佳理さんです。お二人は共に本郷孝文さんに師事、その後独立しています。
そもそも、大月さんのことを知ったのはインターネットの検索からでした。織物やアクセサリーなど様々な作家さんを常にチェックしていますが、シャープでメリハリのある世界観、色彩のセンスにこの方はいいな・・と感じていました。

後日、国立新美術館で「国展」を見に行った時に大月さんの作品が展示されており「おお!やっぱり」と思った記憶があります。(その会で作品は入選しています。)
さて、その後、工房にお邪魔して帯をお願いする機会をいただきました。当方は今年の秋冬のコレクションには「甘さ」「ファッション感度の高い作品」「アート」というテーマを考えています。中でも「甘さ」というものを表現したいと考えています。どうしても、私の目に入る作品は「シャープで都会的」なニュアンスのものが多いです。数限りなく作品を見分けていきますが、やはり自分の好みを荒くより分けると、そこになってしまいます。
自分が男であるということもあり、どうも、ふんわりとした優しいニュアンスを見分けるのが苦手なのです。
では、人の考えたものではなく、自分で考えたらどうだろうか。そんな思いが巡り、一から企画してみることにしました。

具体的には以前、求めた作品の絣帯にテーマに沿ったアレンジを加えた帯です。
大月さんも男性です。ある程度シャープな世界感です。ですが、お話を伺ってみると「女性の作品をつくっていきたい」とのこと。私が考えたのは、甘味のある配色や世界感を男性が創ることにより、軽い辛みが足されて、ちょうど良い雰囲気が出るのでは?ということです。
また、話の中で「見た目だけではなくて、内側からパワーを放つような」という新しいコンセプトも大月さんからいただき、それも盛り込んでいただく事にしました。お子様の色鉛筆をさっと手に取り、シュシュッとプリントの裏にスケッチをとっていただきましたが、人のインスピレーションに火が付く瞬間は、やはり、何とも言えない感動があります。
振り返ってみると、かなりたくさんの染織作家さんや産地の工房に伺っていますが、色だけではなくて絣織物を企画から手掛けるのは少ないです。それは、自分自身の思い描く世界観が出ない・・という心配があったからです。
ですが、作品のテイストや感覚を信頼できる方に出会えれば、お任せすることができるはずです。これは作品担当として自分自身の壁を超える新しい挑戦でもあります。
一からの制作ですので、入荷は秋ごろになると思われますが、誰よりも完成を楽しみにしているのは私自身です。