先日、某着物専門雑誌の撮影に協力した糸数江美子さんの八重山上布が戻りました。
白上布と異名をとる八重山上布ですがこちらは非常に珍しい「藍色」。浮き織にした緑の格子と白い星が効いた別注品です。
合わせた帯は喜如嘉の芭蕉布の八寸帯です。産地の新作から一点だけ見つけた「単彩」はグーシの花織だけが静かなアクセントになった、品の良い世界観が魅力。
帯締めは和小物さくらさんの手掛ける絶妙な配色の「夏の唐組」、帯揚げは生成りで馴染ませて、刺した扇子が夏着物の気分を盛り上げてくれます。
今、お仕立て上がりとなり、短時間の撮影を経て戻りましたが、明らかに空気が変わりました。反物の時点で評価するのはもちろんですが、やはり仕立てて、着ることが着物の醍醐味だと再認識しました。前回、越後上布の反物を当店が仕立てた着物も撮影協力品ですが、共に只者ではない雰囲気を漂わせています。
糸を績む、染める、織る、その全てに一手一手の想いがこもったまさに名品です。芭蕉布の帯は使い込むとタンニンの作用で色が濃くなります。また、この八重山上布も藍の枯れ、や色素の深まりなど経年の「成長」を見ることができます。夏が来るたびに袖を通せば、きっとその年ごとに異なった表情と、その深まりを味あわせてくれます。是非、トータルコーディネートでお迎えいただき、また、その年ごとに異なったコーディネートを探して、お楽しみください。