今回のご紹介は、染色作家 佐藤碧さんの半幅帯「逆光」。
こちらは帯地を中央で染め分けており、リバーシブルの帯としてコーディネートが楽しめます。柄の出方を調整すれば角帯としてもお仕立て可能です。生地は質感の良い紬地（浜紬）を使用しています。
「カンザン」という種類の桜の枝をモチーフに制作された作品で、フシの目立つ枝の造形を活かすために、花などは描かず、枝のみで美しさを表現しています。春に向けてエネルギーを溜めているイメージで、枝それぞれにぼかし、にじみが入っており、「逆光」という題が付けられています。
技法は友禅染めをベースにした佐藤さん独自のもので、糸目をつかったり、染料をぼかしたりと、今までの呉服的な枠には収まらないアーティスティックで迫力のある仕事となっています。
以前、美しいキモノ本誌でもコーディネートが採用になりましたが、藍を使った紬地の着物にも負けない存在感があります。水彩画のような世界観ですが強い主張を感じさせます。他にない作品を探しの方に特にお勧めです。
佐藤さんの染色作品は着物の世界に留まらず、ご自身の知人のパタンナーさんと共にワンピースに仕立てたり、スカーフに仕上げたりと「実際に着たい・使いたい」ニュアンス作りも非常に上手。その一方、絵羽・訪問着で作品展に入選するなど直球の呉服の仕事にも高い評価を得ています。
この作品そのもので帯を制作するのも素敵ですが、作風を生かした名古屋帯など佐藤さんへの作品オーダーメイドも承っております。（納期・価格は要打ち合わせ）
こちらは現在オンラインと店頭にて販売中です。今後、入荷やオーダーメイドなどのご案内を希望される方は「メールマガジン」か「ＬＩＮＥ」を是非、ご登録下さいませ。
佐藤碧 「逆光」 半幅帯（角帯も可） 白よごしと灰青
春に咲き誇る八重桜のパワーを秘めた唯一無二の帯
今回の作品テーマは「桜」では無く、「桜の枝」。花の様子は、日本原産の八重桜と言えばその咲いた姿を想い浮かべやすいでしょうか。春、あれだけの花を咲かせるために冬は「枝のみ」となる桜の木。それはまさに花を咲かせる春に向けてエネルギーを溜め込む姿。そんな秘めたる力溢れる「枝」に心を向けた佐藤さんの今年初の新作です。
リバーシブルともなる白×グレーの帯は、それだけで表情豊かに合わせる着物や小物の幅が広がると思いますが、自分だけが知る帯のテーマから「どんな花を咲かせようかな」という遊び心いっぱいの気持ちでもコーディネートを楽しんでいただけたらと思います。
半幅帯ですが、当店の帯留たちとも相性が良さそう。軽快なカジュアルの着姿から、帯締めにジュエリーを重ねた美しい着姿までご堪能いただけるオンリーワンの半幅帯。そう出会えるものではありません。
＜スタッフ マキコ＞
