ヴィンテージの本場結城紬に新作の久呂田明功の帯を合わせる

古着がトレンド

洋服の話。古着がトレンドの一つになっています。それは若い人が新鮮に着る90年代のファッションであったり、大人が着るリーバイスのジーンズだったりします。海外ファストファッションのブランドに代表されるような大量生産・大量消費型の衣類は、着たときの高揚感の面でも、また、スタイルの点でもなんとなく物足りない。さらに言えば、ストーリーや奥行きといったものは感じることができません。持続可能な社会が目標とされる今の気配から言っても、反りが合わない。その反動が古着に来ているのかな、とも思います。

ヴィンテージ・ミックスという新たな価値観

では、着物はどうでしょうか?そもそも着物の古着というのは市民権があります。新作に比べるとかなりお値打ちということもあり、人気があるジャンルです。個人的な感覚ですが、愛好家の数に対して流通量が多く、デザインや状態にこだわらなければ無限に選ぶことが可能だと思います。

しかしながら、私は普通に流れている着物の古着が全て良いとは思えません。最大のポイントとして、ただなんとなく古着と古着を組み合わせても納得のいくコーディネートにならないからです。

ここで洋服の視点に戻ってみましょう。今、古着の人気はシルエットがかなり重視されていますし、大量生産品には生まれない”濃い”雰囲気にあると思っています。もちろん、古着と古着を組み合わせて着るのも一つですが、自由な感性で新しいものと組み合わせた時に生まれる、ミックスした感じに惹かれます。これを着物に応用すると何が起こるのでしょうか。

旧い本場結城紬に新しい帯を合わせる

着物なら「ヴィンテージの着物」に「新しい帯」を合わせるという提案になります。これは非常に新鮮な雰囲気が出せるスタイリングです。

まず、普通の古着ではなく、ヴィンテージとして判別できる完成度の高い着物を探しました。発見したのはリユースの仕入れルートから入手した「旧証紙の本場結城紬」です。証紙が切り替わった時期がわかるため、最も新しい年代だとしても20年近く前の作品になります。(※2022年現在)仮にもっと古い時に織られていたとしても、判別するすべがありません。また、厳密にはヴィンテージと定義できるのは20年から30年以上前のものですが、旧証紙という点でヴィンテージに分類しておきます。

そして、ただ時間が経っていれば良いわけではなく「価値があるか」という点が大切です。現在は絶えた技法であったり、今着ていて素敵なデザインかどうかを厳密に判断したいところ。

この本場結城紬はいわゆる100亀甲の総絣で、技法的には現在も制作されているものになります。さらに代表的でクラシックな紺色。ですが、それが良い方に作用して今っぽいすっきりとまとまった好テイスト。感じ良しです。

どうしても小さいサイズ感が多いため、産地にて洗い張りを施し大き目のサイズにリサイズいたしました。また、赤っぽい八掛けがイマイチなので、同色のシンプルなカラーコーディネートへと変更しました。風合いも戻り、こなれた空気の逸品が完成しました。本場結城紬は堅牢度の面からも現実的に三代着られるため、ヴィンテージとして掘ることができるジャンルの一つで間違いがない。近年は産地でもすっきり感のある作品を重視している気配もあり、旧いものとは異なってきているのも一つの感じどころでしょう。ちなみに私はどちらも好きです。

久呂田明功工房に別注したネオクラシックな名古屋帯「唐草」

帯は新作です。東京友禅を代表する工房 久呂田明功さんに柄、地色、差し色をお願いした千成堂の別注品です。あまりいうのも無粋なのですが、あの浦野理一さんの作品をかつては手掛けていたこともあり、昭和期も彷彿とさせる華やかで奥行きのある世界観が非常に魅力的です。様々な生地にも挑戦いただける(夏物もありますよね)のですが、当方はこのしぼの大きなクラシックな縮緬に描いた空気が好きで、いつもこの生地でお願いしています。

地色を抑えめに、赤を挿さず、銀色に煙る金色、このあたりはお願いするポイントでした。あまり細かく指定をかけると「それじゃ落款は押せないよ」となってしまうため、テイストを伝えて後はお任せしています。その方が良い上がりにできます。

ヴィンテージの着物に合わせて、新作の帯を合わせるなら、この世界観はマストだと思います。

コストパフォーマンス

このヴィンテージと新作のコーディネートの特徴は「旬の空気がお得に手に入る」ということです。ご存知の通り、本場結城紬の総絣ともなれば新作で買うと100万円以上はします。(お店で値段はバラバラですが・・)。

それを半分以下に抑えることができますので、トータルコーディネートの金額をかなり抑えることが可能になります。その分、帯や帯回り小物、草履といったところに投資して、質の高いコーディネートを作りこむことが可能です。スタイリングは当店マサエさんと打ち合わせましたが、あえて「きれいめ感」のある帯揚げと帯締めを選び、ヴィンテージ特有の旧さを払拭。華やかな帯とのバランスを取りました。レトロに持って行くのは簡単ですが、お洒落な大人の着こなしを目指して新しい方向へ組み立てました。

ヴィンテージをどう大人のワードローブに組み込むか?

私は今ファッションに欲しいのは「ストーリー」だと思っています。自分の目で見た本当に好きなものを選び、そのものの持つ奥行きを感じて、本当に似合う一枚として自分自身のワードローブへと組み込み、着こなしていく。ただ衣類を選ぶのではなく、自分を表現する渾身の一点ものを見つける。想いののった一枚はただの着物を超えて、本当に大好きで思い入れのある何かになっていくはずです。

何かとせわしない最近ですが、時には足を止めてじっくりと作品を掘ってみるのも悪くない趣味です。この本場結城紬もそうですが、究極の一点ものである「ヴィンテージ」の楽しみ方も提案していこうと思っています。

作品担当 井上英樹

「着たい」「似合う」が間違いなく揃います

「自分の着物にあう帯を選んでほしい」
「ネットの掲載品を実際に見たい」
「合うサイズの草履がない」
「お洒落なコーディネートで揃えてほしい」
「着物が着にくいので、仕立て直したい」
「紬をはじめたい」
「似合うものをオーダーメイドしたい」
「式典のコーディネートを任せたい」
「芭蕉布や上布など、特上品が欲しい」
「染織家の●●さんの作品が欲しい」

お応えしてきた一例です。ご来店(予約制)はもちろん、メールやLINEでもお気軽にご相談ください。

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