着物や帯に始まり、有難いことに履物のオーダーも増えて参りました。心よりお礼を申し上げます。お客様のご意向に沿って制作したり、こちらから提案したり、または店頭用に作ったりと制作の日々です。
初心に還る意味も含め、少し過去に遡りまして当店の別注作品や、お客様からのオーダー品をおまとめして振り返ろうと思います。何も無いところからオーダーというのは、なかなか難しいものです。ご紹介する過去作品から、お客様のイメージする夏草履や下駄の参考になれば幸いです。
パナマ台 × 鼻緒 組紐 白
お客様のオーダーです。夏の最高級草履といえばパナマ。そんなパナマに、鼻緒を選ぶことでさらに上質感を高めることも可能なことからイメージ、うっすらとした銀糸が涼しさを添えてくれる組紐の鼻緒とのペアリングです。エナメルやハンプと合わせるとセミフォーマルなのですが、このくらい控えめな銀糸使いだと、パナマのクラス感と相まって独特の表情を見せてくれますね。素敵です。
パナマ台 × 鼻緒 シコロ織 白
お客様のオーダーです。夏のコーディネートに欠かせない、涼しげで上品な足元、パナマの草履。上布をはじめとする織の着物には最高に相性が良く、また着物の色に関わらず合わせやすい。きっと小粋に映えるということでスッキリとした低めをお選びいただきました。鼻緒は控えめな艶感が素敵で、清潔感の印象の白のシコロ織です。涼しげにコーディネートをいただきました。
パナマ台 × 鼻緒 白麻 前坪紺
お客様のコーディネートです。白系の生成りに藍の絣が印象的、藍色のお着物に合わせたオーダーをいただいたパナマのお草履。爽やかな夏の着姿を演出するのは、やはり白の鼻緒です。麻生地の上質な鼻緒にこだわりの色をコーディネートいただいた前坪がポイントです。お草履をお履きになる際、白足袋からちらりと除く指先の配色がお洒落を決めます。
パナマバイカラー台 × 鼻緒 ハンプ 白
弊店のコーディネートです。天は編み込みの本格的なパナマ地ですが、巻と鼻緒はハンプにした異素材コーディネートの草履です。大人の足元を少し個性的に彩る「バイカラー」が特徴的。足元だけでコーディネートがワンランクアップする逸品でしょうか。
シザール(サイザル)麻 × 鼻緒 シザール
お客様のコーディネートです。シザール(サイザルとも)麻で織られた生地を使った夏草履。麻、というと素朴でカジュアルなものが多いのですが、こちらの特徴は艶めきがあり、「きちんと感」があることがポイントです。普段の紬をメインにお召しのお客様ですが、足元にシザールの草履が収まると、品と格調がプラスされ、紬が何倍にも引き立ちます。夏の高級織物「上布」にも素敵に合いそうです。
胡麻竹の下駄 × 鼻緒 絞り染め裂 前坪生成り
当店のオリジナルの鼻緒は時の積層を感じる古裂から作られる、特別な「作品」です。胡麻竹の下駄に合わせて現代的な履物としてスタイリングしました。オリジナルの裂に入る柔らかい黄色に合わせて、鼻緒の裏地と前坪は優しい生成りで。すっきりと上品な大人の下駄です。
胡麻竹の下駄 × 鼻緒 絞り染め裂の鼻緒 前坪白
眠っていた1点ものの「絞り染め裂」を解き、時の流れから着想を得た千成堂着物店として手掛けるオリジナルの履物作品。現在は希少となった胡麻竹に合わせて、前ツボや鼻緒の裏地にまで徹底的にこだわり、時代に合うスタイルを制作いたしました。
胡麻竹の下駄 × 絞り染め裂の鼻緒 前坪赤
豊かに積み重なった時間を味わうオリジナル「絞り染め裂」の鼻緒を胡麻竹に合わせて、前坪をアクセントの赤に。前坪の赤は深みのある色味、決して浮くことのないコーディネートを楽しめる赤が拘りのポイントです。
胡麻竹の下駄 × 鼻緒 白麻 前坪赤
お客様のコーディネートです。舟形という草履に似たえぐれの無い台に、白い麻の鼻緒をシンプルに組み合わせた、大人っぽい表情の作品です。鼻緒の制作は菊之好さん。前坪の色を変えて、アクセントを入れるのがポイント。後々、すげ替えなどもできるのですが、真田紐の鼻緒などを合せてカジュアルダウンする方法も楽しみ方の一つです。
フロソン台 × 鼻緒 シコロ織 前坪赤
お客様のコーディネートです。制作した下駄草履は「フロソン」と呼ばれるフランス製の生地を使用したお品です。色味は種類がありますが、このお洒落で明るい雰囲気のお色をお客様が選ばれました。また、履き心地へのこだわりもあり、下駄草履はぴったりの足元です。カジュアル過ぎない、というテーマもあり、鼻緒は「シコロの白」を採用して、前坪はえんじ色系の落ち着いたものをコーディネートいたしました。
桜張の下駄 × 絞り染め裂の鼻緒
千成堂着物店として手掛けるオリジナルの履物作品。桜張りの台に「絞り染めの裂」を合わせて表現した一足。前ツボや鼻緒の裏地にまで徹底的にこだわり、特に通年楽しめるスタイルが完成いたしました。
桜張の下駄 × 鼻緒 印伝 白 前坪赤
お客様のコーディネートです。下駄というと夏の履物という感覚がありますが、通年履くことができます。中でも、足袋を履いて、少しお洒落に履ける「桜皮細工」の下駄は当店でも人気です。こちらは、お客様から「白い鼻緒で・・」とご依頼をいただきました。真っ白い鼻緒で仕上げるのも素敵なのですが、少し質感のある「シルク印伝」の鼻緒だと、グッと高級感が出ます。また、少しグレイッシュな鼻緒ですので、季節感をあえて薄められ、どんな季節にもマッチする下駄の完成です。
しな布 × 鼻緒 白麻 前坪赤
紬や織の着物をこよなく愛するお洒落なお客様のオリジナル作品です。個性のある夏草履というご意向をいただき、サイトに掲載の無い特殊素材「しな布」を使った草履をご案内させていただき、非常に質感が高く、また一目で通とわかるこだわりのお草履が完成いたしました。しっとりと深い自然の色味が特徴ですので、鼻緒には白の麻を爽やかに、前坪にはこちらもこだわりの赤をお選びいただきました。これにより、高い趣味性とお洒落な表情を両立しています。
男草履 しな布 × 黒の革巻き台 × 鼻緒 インポートファブリック
当店はもちろん男草履のオーダーも可能です。どうせ作るなら他にない、こだわりの草履ということで、日本三大自然布のひとつ「しな布」を贅沢に使用した草履を制作しました。作品担当、井上英樹の私物として制作した草履です。天はしな布を使っていますが、巻には本革の黒を使い、オールシーズンの感覚で制作。オールと呼ばれる、巻までしな布の仕様も制作は可能ですが、ちょっと夏っぽくなるかな・・と思い、今回は外して。鼻緒は菊之好さんお得意のインポートファブリック。統一感の無い鼻緒をすげるのは好みではないので、黒と茶の同系色を選びました。全体にまとまりのある希望通りの仕上がりとなりました。
見られる足元から「魅せる足元」へ
コーディネートの仕上げとも言える足元はとても大切です。
自分らしい台・鼻緒・前坪のイメージを膨らませたら、是非、自分だけのオーダーメイドをお楽しみください。求めるものが無い時は、オーダーしていただければ本当にご満足いただける1足が仕上がります。イメージで悩んだ時にも、ぜひ、ご相談ください。代表的なおススメはやはり「白」にこだわった鼻緒です。鼻緒だけで見るとカラフルな色味に目がいきますが、足袋との相性も大切です。色のアクセントが欲しい際には、前坪で選ぶとまとまりやすい上品な着姿が完成いたします。
オーダーやご相談のプラス料金はございません。全て、通常の価格でのご提供ですので、どうぞご安心ください。
当店では、高さ・幅・重ね・鼻緒・すげ具合や前坪の色味などを、あなたのお好みに合わせた特注オーダーメードで随時承っております。(パナマ台は2種類・下駄草履の幅や形は一種類のみです)ご用命は作品担当 井上英樹まで。