「麻の着物は夏着物・7〜8月の盛夏の着物」というのが定説ですが、4月の時点で長袖シャツがすでに暑い今年はどうすれば良いのでしょうか。
<お知らせ> 武村小平さんの綿麻着尺は追加料金なくカラーオーダーが可能です。お時間はかかりますので、ご希望の方はお早めに弊店までメールかLINEを下さいませ。イメージを伺ってデザインも致します。→ こちらから
基本的に衣替えには時期がありますが、このペースで行くと暦通りにはとても無理だと思います。そう、とにかく涼しいものが着たい。
今日は武村小平さんに別注した綿麻の着尺を撮影しましたが、ボディーに着せ付けて撮影をしていたマサエさんも半袖で撮影していたくらいです。
しかし、そうは言っても、しきたり的なものを完全に無視するのも粋ではないな・・と同時に思います。この気温と衣替えの問題をどうすれば乗り越えられるか?もしかすると「大人色の綿麻着物」はこの話の救世主かもしれないと思いつくわけです。
去年、お客様に別注として依頼を受けた武村さんの綿麻きものですが(良い感じの茶でした)、あまりにも素敵にできたこともあり、今回は同じ柄で配色を変えて当店のオリジナルとしてお願いしてみました。
当店のものはあくまでも個人の趣味ですが、黒と青の組み合わせに目がなく、今回もその雰囲気で仕上がった1反です。1月の別注展でも発表していたのですが流石に時期が早すぎたのか、ベストシーズンの今日完売しました。
テーマとして、スッキリと大人っぽく着られる作品を目指しています。いわゆるふんわり色目の作品ではありません、良い意味で浴衣的なラフさを削ぎ落とした提案です。(もちろん浴衣的に着るのもお勧め、衿を付けてしゃっきりと。)
反物の時点で、某着物専門雑誌の編集の方、スタイリストさんに目を留めていただき、誌面登場の機会までいただいてしまいました。
素材は風の通りの良い綿麻ですが、あくまでも大人のソリッドカラーにすることで高級感を出し、また、八重山上布(こちらリユースの出物、良い色です!)・白い半襟と合わせることで、コストパフォーマンスは高いまま、上質な着物感覚を完成させました。ちょびっと色をずらした帯揚げと帯揚げは和小物さくらさんのニュアンスカラーの定番です、ぴりっとスパイス効いています。
instagramでも書きましたが「夏はやっぱり麻を着てほしい」という紬プロの意見は多く、夏の絹物にやや一歩引いているところすらあります。これを拡大して、夏の手前から着られる綿麻を考えるのはどうでしょうか。大人っぽい格好良いスタイルで。
越後上布や宮古上布のように苧麻の最高級品から、手に取りやすい機械紡績のラミーまで様々ですが、価格はさておき、着物感覚で着られて、まわりを唸らせる素敵さのある綿麻着物のコーディネートをしっかり考えないとな・・と思うわけです。そうでもないと、冗談抜きで春からの着物を着る人がいなくなってしまいますよ。本気で体調崩します。
お洒落は我慢!と頑張らないで、お洒落だけど快適!をなんとかできるように頑張っていこうと思う、4月最高気温25度の今日でした。
作品担当 井上英樹