「着物通なら夏は原始布、科布(しなふ)」
着物通、特に紬や工芸織物通ならご存じとは思いますが、7月8月の着物コーディネートに究極のジャンルがあります。それは<原始布>です。
今回1点限定で入荷した原始布、科布(しなふ)の帯で通の夏着物コーディネートに挑戦してみます。こちらは小千谷縮(おじやちぢみ)の着物に合わせたコーディネートです。夏の着物の最高峰、麻の着物で作るワントーンコーディネートをさらに印象的なものにしてくれます。
失われた技法などを復元した、まさに人類の英知の結晶。
その前に、原始布をおさらいしておきましょう。原始布(古代布とも言いますね)とは、現代の織物とは異なり自然の木や草、蔓や繊維などを昔ながらの技法で織り上げるものです。
ざっくりした織感を特徴とするものが多く、着物の世界では帯で見かけるものが多いです。野に出て原料を集め、そして昔ながらの技法で織り上げるため、膨大な時間と手間がかかります。そのため量産が全く効かず、市場に出回る量がそもそも激少です。現代では織り手も少なくなり、ますます少なくなっています。
その風合いは麻や紬などに素晴らしい相性、差の付く素敵な着姿を求める着物ファンがいつも探し求めています。
市場に出回る数は少なく、需要は大きい。結果として・・非常に高価な金額で取引されています。
こちらは科布、シナの繊維で織り上げた帯です。
なかなか実物を見かけないものですが・・今回1点限定、状態良好なリユース品として発掘されました。
こちらは科布(しなふ)日本最古の織物です。山形県の関川村などを雪深い地方に受け継がれる織物です。シナノキ科シナノキ属である「シナノキ」、「オオバボダイジュ」または「ノジリボダイジュ」の皮をはぎ、繊維の状態にして織り上げます。
今回はリユースで発見されましたが、新しいものは本当に見かけない・・超レアものです。
当店は紬に強い大手の呉服問屋さんとも取引があります。様々な産地の希少な手織り紬や、芭蕉布など数多く取り扱う問屋さんです。その紬の担当者さんとしても、本当に科布の新しいものは出てこないそうです。織り手の高齢化など様々な理由もあり、今後さらに出回る数は減っていくと予想されます。
今回はリユース品(状態良好な中古品)として入荷いたしましたが・・新品として探すと本当に入手が難しくなりそうです。
ざっくりとした科布の帯をすっきりと見せるコーディネート
こちらはベージュの夏大島に合わせたコーディネートです。小物までベージュのワントーンに合わせて、洋服感覚の統一された雰囲気を出してみました。本当にざっくりした風合いの帯です、素朴な風合いが魅力的です。ですが、あえて素朴さを引き出さず洋服感覚のコーディネートを目指してみました。
当店の考える<都会でも浮かない着物コーディネート>に<素朴な原始布・科布>合わせると、上質感、大人のこなれ感を帯まわりに演出してくれます。
科布の持つ個性を生かして、現代的なコーディネートを演出するのはやっぱりワントーンのコーディネートではないでしょうか。
7月・8月は是非、原始布・科布の帯に挑戦してみてください
店頭にてご試着いただけます。ご注文やお問い合わせもお気軽に~
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