紬の付下げコーディネートを素敵に着こなすコツとは。
千成堂では、主に、”紬”に力を入れています。紬はどちらかといえば、上級のお洒落着であってフォーマルな着物ではありません。しかし、現代は選択の幅も拡がり紬の付下げ訪問着のような、フォーマル色の強い紬も人気ですよね。
お客様からのお声で、初釜にとか、お宮参りにとか、改まって装うお席でも、洒落た紬的センスのあるものを着たい!とのリクエストも多くあります。
これからの季節は、何かと行事も多くなり、歳が明ければ、初釜、初芝居、新年会など、いつもは紬のお着物でシックな装いを楽しまれている方も、ちょっと晴れやかな気分で、フォーマル、セミフォーマルの装いを現代的に着こなしたいと思われるのではないでしょうか。
そこで、今回は千成堂らしく、大島紬、牛首紬、花織りと、織りと染めが合わさった着物でコーディネートしてみました。きっと染めだけの着物とは一味違った味わいを楽しんで頂けると思います。さて、写真で見てみましょう。
紬の付下げコーディネート:牛首紬の付下げに白地に金銀糸の入った松煙染めの袋帯
牛首紬は、大島、結城と並ぶ日本三大紬のひとつです。生産量も少なく高価なお着物です。
別名、くぎ抜き紬と呼ばれるほど丈夫と言われると、強く素朴なものを想像しがちですが、とても滑らかで光沢があります、比較的付下げなどとも相性が良く、こちらのようなフォーマルテイストもしっくりくる紬の一つです。
こちらは生成り色の地色全体に墨色の様なグレーの幾何学文様の入った、モダンで洗練された雰囲気。裾と袖の淡いブラウンからグレーの暈しが付下げに配され都会的なイメージがありますので、モノトーンに白地の帯でスッキリとまとめました。帯揚げ、帯締めも思い切って白系で全体の雰囲気を大切に。
帯は松煙染と和紙を使った帯です。銀糸系であくまでもシックにまとめます。ワントーンがやっぱり、捨てがたい・・。
紬系付下げコーディネート:花織りの付下げに錦織の袋帯
エレガントな雰囲気で人気の、ややグレー味を含んだブルーの花織り。
浮き織りの着物は動きにつれて、光の当たり方で柄が浮かび上がるようで、美しく印象的です。こちらは、モダンな格子柄にピンクやグレーなどの糸が刺繍された付下げです。帯は花織りの優しさを大切にしながら、華紋の豪華な錦織の袋帯で格調高いコーディネートに、トーンを合わせることで、現代的な世界観が生まれるとおもいます。
合わせた帯は蒼天錦、スッキリとした意匠が印象的な逸品。合わせやすく、現代的な華やかさもポイントですね。
紬付下げコーディネート:染め大島紬の付下げに螺鈿入りの袋帯
紬の中でも大島はサラリとつややかで、シワになりにくく着やすいお着物です。こちらのお着物はピンクゴールドとも呼びたいような、ピンク味のあるベージュです。
(お着物は完売しております、ありがとうございました。)
裾から袖に、春霞に煙る山並みのように、ブラウンから淡い若草色、そして生成り色と美しい暈しが入ります。その繊細さを壊さないように、古典文様の上品な袋帯を合わせました。全体が優しく華やかにまとまりました。またこちらは、背に刺繍の一つ紋が入っていますので付下げより、少し格のあるお席にも御召頂けます。
帯は希少な技法”螺鈿”の袋帯、一切隙の無い素敵さ・・・古典文様の逸品帯です。コーディネート的にはやはりワントーンが基本、反対色を持ってくるとクラシックにまとまりすぎるので、ここは艶のある同系色/素材感でまとめるのがよさそう。
紬の付下げコーディネートを楽しみましょう!基本はやっぱりワントーンなコーディネート!
いかがでしょうか。暮れから新年にかけてのお出かけコーディネートの参考になりましたでしょうか?
着物好きの方たちは、新しく着物や帯を選ぶ時は、準備に時間を掛けて早めに選ばれる方が多いと感じます。それぞれのシーンに合わせて、あれこれと選ぶことが楽しみであるからかもしれません。
付下げのようなハレの日のコーディネートでも、ワントーン&すっきりをキーワードにまとめると、現代的なコーディネートになると思います。
特別な日に、特別なお洒落を楽しむのも着物好きの醍醐味!さあ、素敵な一日になりますように!