秋冬の着物と言えば、結城紬。
今年こそ、お洒落に結城紬を着こなしてみたい!しかもトレンドの都会的な着こなしで!そうお考えの方も多いと思います。
しかし”ほっこり系”結城紬。お洒落に、特に都会的に着こなすのはかなり難しいです。
普通に着ようと思っても、ほっこり感の強い結城紬の都会的コーディネートはとても難易度が高いです。しかし、ここは敢えて!難易度の高いベージュの結城紬で都会的コーディネートにチャレンジしてみます。
まず、結城紬を都会的に着こなす基本。
結城紬は柄行きのあっさりとした一枚を選びましょう。
今回は当店のコレクションよりベージュの結城紬、”はたおり娘”を選んでみました。
(はたおり娘とは:ご存じ、奥順の結城紬ブランドの一つ。本場結城紬の風合いを再現したプライベートブランドです。お手頃な価格で人気!)
ベージュの結城紬地に黒い亀甲文様の流線型。あっさりとした雰囲気の一枚です。柄行きの込んだ明るいベージュの着物は、どうしても野暮ったい印象になってしまいます。柄行きを間違えると都会的コーディネートはかなり遠くなります。
こちらのような、あっさり柄なら都会的なコーディネートにも馴染みやすいです。
※1つ残念なのは、八掛けの色がリサイクルの結城紬に多い、ローズ系なのです。表地と同系色に付け替えれば完璧。時間と費用は掛かりますが、色を選んでお仕立て直しすることも可能です。お問い合わせもお待ちしております。
参考:こんなに変わる、結城紬の究極コーディネート術。洗い張り&仕立て直し!
帯を選ぶコツ。
さて、着物を選んだところで帯とのコーディネートを考えていきます。都会的な着こなしの基本はワントーン系のコーディネートですが、ベージュの場合はちょっと違ってきます。
ベージュのワントーンで都会的な街並みを歩く自分を想像してみてください。
2012年に復原された、美しく歴史のある、赤レンガの東京駅。
近代的な丸の内、ビル群。
このような街に立った時を考えてみたとき、自分の着物姿に周りとの違和感を感じませんか?
そうです、コンクリートの色、周りの人が着ている秋冬の洋服、色のトーンはすべて落ち着いているのではないでしょうか。全身全て淡いトーンはその中で浮いてしまうのは当然です。
そこで帯はダークトーンを合わせます。ベージュ単色のぼやけたコーディネートではなく、キリッと引き締まったアクセントのある着こなしです。
そこで、今回コーディネートしたのはあくまでもシックな黒文綸子の絞りの名古屋帯。着物の亀甲柄の黒色を拾って、メリハリをつけます。
ポイント!”目立つ色の差し色”を使わない。
差し色はベージュの結城紬を考えたとき、非常に有効なカラーコーディネートテクニックです。
しかし、都会的なコーディネートに、多色使いと派手な差し色はNGです。
普通に考えると”花柄の染め帯”や”明るい色の帯締め・帯揚げ”が思い浮かびます。
しかし昔ながらのこの感覚は今、非常に野暮ったいコーディネートの代名詞という気がします・・。
どうしても、このコーディネートをしてしまうと、配色・雰囲気が都会的になりません。
バッグ・草履も黒で隙なし。
*残念!完売しました。
最後に小物を選んでいきましょう。秋冬のコーディネートにはやっぱり、都会的な中にも”レトロ”なスパイスが欲しいです。
そこでダークトーンのクリスチャンディオール、クラシックなヴィンテージモデルを合わせてみました。ゴールドのふち金具もベージュと相性が良いです。草履もきりっと黒系がきっと素敵。
都会的モノトーン差し色でベージュの結城紬を攻略!
コーディネート完成です!いかがでしょうか。
帯揚げも隙なく。帯締めはベージュと色相を合わせた白茶色で色味を抑え、帯揚げは同系のベージュにします。
ベージュと黒の二色に絞り、シンプルなカラーコーディネートです。ワンランク上の大人のコーディネートに仕上がったと思いませんか?
ベージュの結城紬を都会的にコーディネートするコツ、それは洋服感覚のトーンを押さえたメリハリです。
あくまでも色数を押さえたコーディネートは都会的着物コーディネートの基本として押さえ、差し色はモノトーン系、小物まで隙なくコーディネートすれば間違いなしです。
ちょっと難しいですが、シンプルで飽きの来ない、永年お召しになれるベージュの結城紬はセンスの見せ所でもあります。
秋の始まりにベージュの結城紬、検討する価値は十分ありますよ!